幕間 〜二人の道化師〜
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タチなんかは押し付けでしかない。
結果的にいいようになるかもしれなくても、私はそれを絶対にしたくない。
秋くんは当事者同士で解決することを望むクセがあるから、私と同じ気持ちなんだと思う。
「……天和ってさ、なんつーかやっぱりお姉さんなんだな」
「むぅ、どういう意味ぃ?」
「クク、普段はほわほわしてるのにって思ってさ」
「もう! バカにしてるでしょ!」
「すまんな、クク」
頬を膨らまして不足を示すと、また彼は苦笑を一つ。
からかうように話をずらすのも秋くんの悪いクセだ。次に言う提案することを考えて嫌になってるんでしょ?
――だって秋くんもお兄さん気質で放っておけない人だもん。だから私に手伝って欲しいって思ってる。そして……冷たい計算の上では“染め上げて欲しい”、とも。
嘘つきなあなたは嘘を重ねて行くしか出来ない。
いつか一人になるって分かってながらも、欲しいモノの為に関係を壊しかねないこともする。
分かってるよ。私もあなたと同じで、大嘘つきなんだから。
「秋くん、店長達のことは任せてくれていいよ? 私もみゅうちゃんとしたい事あるし、私達の目的の為に店長を利用するつもりでいるから」
一寸だけ、彼の目が大きくなった。バレたことに驚いているらしい。
ダメだよ秋くん。女の子はね……男の子が思ってる以上に計算する生き物なんだからさ。特に、愛しいモノの為なら、女はなんだってする。
――好きな人の想いを尊重する時以外は、だけどね。
私の愛しいモノはお客さんの全て。その為に秋くんと同じように店長を利用して、何かしらの対価を払うことになるだろう。店長が嫌いな政治事になるかもしれないけれど、私は繋ぐ想いの為に説き伏せなければならない。
ただ、戦場に向かう夫を見送る妻のように、想いを大事にしなければならない時もある。それについては……今は置いておくけど。
「……お見通しってか。怖いな、女ってのは」
「ふふっ、秋くんに言われたくないかなー?」
自分勝手に進む秋くんも怖いから、とは言わない。
「そんならお互い様ってことで。まあでも、頼りにしてる」
「素直でよろしい♪」
言いながらゆるりと、彼の頭を撫でてみた。
黒髪がさらさらと指を通った。任せるままに、彼は目を瞑る。
「……頼る側ってのはかっこわりぃなぁ」
なんだかやるせないような表情になって、でも無理矢理払いのけたりしない。
友達を利用するのは嫌だろう。私の考え付かないような策を思い描いている彼は、嫌だからと避けたりはしない。
欲しいモノが何かを見失ったら乱世は越えられない。欲深く全てを手に入れようとすれば、きっと何かを失ってしまう。
だからこうして、偶には素直になればいい。私は
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