五十九話:フェイト・リピーター
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の戦いですら左腕一本で戦っていたのだ。むしろ、ルドガー達が完全に逃げ終える時間を稼げたのが奇跡的だろう。そう、自画自賛したところで彼の口から大量の血が溢れ出して来て、体が溶けるように薄くなっていく。
「私が直接止めを刺すまでもない……」
ビズリーはヴィクトルの様子にそう結論付けて立ち去っていく。あっけない。それが一人残されたヴィクトルが自分の最後に抱いた気持ちだった。ただ過去を取り戻したくてがむしゃらにやっていた割には、最後は何ともあっけなく綺麗な終わり方だ。だが、心は晴れている。
ようやく大切なことに気づけた自分に想い残すことは無い。後は今を生きる者達に任せよう。過去に生きる亡霊の出番はもう終わりだ。そう考えていた時、彼はふと、薄れて靄がかかった視界に自分の隣に居るある者を見つけた。彼は今までずっと会いたかった相手に会えたことに本当に嬉しそうに笑いながら手を伸ばす。
「ははは…そっか……どうりで過去を見ても見えないわけだ。
君は、ずっと……俺の隣に居てくれたんだなぁ―――ラル」
伸ばした手を彼女の手と握り合わせると同時に彼はこの世界から姿を消した。
最後に彼が見たものが夢か現かは誰にも分からない。
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