五十九話:フェイト・リピーター
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た予想からルドガーはオーディンが言っていた人物がビズリーであると自分の中で決めつけた。
「ルドガー、お前が審判に関わらないと決めた以上は私から手を出すことはせん。だが、その場合、分史世界のお前を殺せば私の願いは自動的に叶う事になるぞ」
「まさか、後一人で最後の一人になるのか?」
「この審判は全部で四人のクルスニク一族とお前を入れた五人で行われている物だ。案ずるな、審判は私が終わらせてやる。よく考えろ、ルドガー。お前さえ納得すれば全てが上手くいくのだ」
ビズリーの言葉に一瞬考えるルドガーだったが答えは決まっていた。何かを犠牲にしたうえで成り立つ世界など今は認められない。どんなことをしてでもビズリーに願いを叶えさせるわけにはいかない。だからこそハッキリと口に出す。
「……オリジン、聞いてるか? 聞いてるなら良く覚えておけ。
俺はエルの創る世界の為に、もう一度―――審判を越える!」
「やはりか……仕方あるまい。引導を渡してくれる!」
その瞬間、ルドガーは時計が動き出すような音が聞こえてきたように感じた。ビズリーは予想通りだったのか眉ひとつ動かさずにルドガーを見つめ拳を握りしめる。二人の様子にヴィクトルは何かを決意したように起き上がり、未だに苦しむオーフィスを抱きかかえてルドガーの元に向かい、優しく預ける。驚くルドガーをよそにヴィクトルは時計を構えながら告げる。
「私が奴の相手をする。お前はオーフィスを……頼む」
「ヴィクトル、お前……」
「ありがとう。お前が“俺”でよかった」
柔らかな笑みと共に告げられた感謝の言葉。それを最後にヴィクトルはフル骸殻へと姿を変えビズリーへと槍を向ける。ルドガーはその背中を黙って見つめていたが、すぐに踵を返して黒歌達にここから逃げるように告げる。様々な想いを抱く黒歌達だったが主戦力が殆ど負傷している状態ではビズリーには勝てないと分かっていたので後ろ髪を引かれる想いでその場を後にする。ヴィクトルはその様子を見届けると改めて槍を握り直しビズリーへと襲い掛かる。
「おまえの相手はヴィクトル……いや―――ルドガー・ウィル・クルスニクだ! 覚悟しろ!」
「ふん、偽物風情が。調子に乗るなよ」
その命を燃やすように互いが赤い炎に包まれ、轟音と共にぶつかり合う。
「てこずらせよって……。おかげで取り逃がしてしまったではないか」
「……まさか、これ程の力とは」
「私達の世界最強の力と、この世界最強の力を合わせたものだ。当然の結果だ」
虫の息で大地に倒れ伏すヴィクトルを見下ろしながらビズリーが淡々とした声で告げる。ヴィクトルはそのどちらの力もが自分の“娘”の物である事に顔を歪めるがもう体はいう事を聞いてはくれない。先程
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