五十九話:フェイト・リピーター
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ている者の方が辛くなるような憎悪の籠った叫びをその身に受けてもルドガーは迷わなかった。
「確かに前も今も俺達クルスニク一族は精霊に弄ばれているのかもしれない……。
でも、審判があったからこそ俺は愛する人達に会えたんだ。
だから……例え、何度生まれ変わっても―――必ず同じ道を選ぶ!」
不幸だった。幸せな平穏な世界を望んだ。どうして自分だけがこんなにも辛い目にあわないとダメなのだと思ったことがないわけではない。だが、ルドガーはそんな自分の人生が間違いであったとは思わない。審判の無い幸せな世界では自分の愛した人達とは会えないのだから。
自分が歩いてきた道が進むのを憚られるいばらの道だったとしても、もう一度生まれ変わる権利を得たとしても、必ず同じ道を選び大切な者を守り抜く。そんな思いを込めた言葉にヴィクトルは何かを思い出したかのように目を閉じ、ビズリーも一語一語を噛みしめるように目を閉じて聞き入る。そして、どこか面白そうに呟く。
「……ユリウスと同じことを言うのだな。あいつも私の申し出を断った」
「兄さんも? …っ! まさか……ビズリー、お前!」
「なぜ私が今までお前の前に姿を現さなかったと思う? 簡単な理由だ。現さなかったのではなく、現せられなかったのだ。ユリウスに足止めされてな」
「それじゃあ、兄さんは―――」
その事実にルドガー達が息をのむ。ユリウスもまた今回の審判に参加させられていたのだ。ビズリーはもっと早くから動き出そうとしていた。しかし、ルドガーの元にビズリーが向かう事を許さなかったユリウスが必死に足止めをはかっていたのである。全ては弟の意志を貫かせるために。だがビズリーは今こうしてルドガー達の前に立っている。それが意味することはつまり……。
「―――私が殺した。今度こそ、願いを叶えるためにな」
殺したという言葉に激高してビズリーに斬りかかっていくルドガー。獣の牙のように鋭い刃がビズリーに襲い掛かるがビズリーには届かない。ビズリーが時計の無い状態でよくもあれだけ戦えたものだと言っているがルドガーの耳には一切入ってこなかった。目の前の存在がただ憎かった。自分が殺した兄ではあるが愛情がないわけがない。寧ろ、世界よりも深く愛していた。他に方法がなくどうしようもなく殺しただけの兄を再び殺されたなど許せなかった。
「北欧で使える物がないかを探している最中に会ったのだが、そこで戦って最後には崖の底に叩き落とした。生きてはいない」
「オーディンが言ってたのはお前の事だったのか!?」
「さて」
実はルドガーはオーディンとの話の途中で抜け出してしまったので話の報酬は得ることが出来なかったのである。しかし、オーディンに対して協力的な態度を取っていない人間という以前に立ててい
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