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ルドガーinD×D (改)
五十九話:フェイト・リピーター
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珍しい形の槍が姿を覗かせている光景を。

「……え?」

 何が起こっているか分からずに間の抜けた声を出すオーフィス。本来であれば彼女は槍で体を貫かれた程度ではビクともしない。しかしながら、今回は別だった。無限にあるはずの力が打ち消されているのだ。

 まるで、(ゼロ)に帰されていくかのように。初めてとも言える苦痛に彼女は苦しげな悲鳴を上げ逃れようともがく。だが、槍から逃れることは出来ずにいたずらに体力を奪われていくだけだった。槍の持ち手はそんな様子にも眉ひとつ動かすことなく淡々とした口調で彼女に告げる。

「無駄だ―――オリジンの“無”の力の前では無限と言えど為すすべはない」

 銀色の髪に、青色の強い意志の籠った目を持つ男が少女に刺した槍を通じて黒色のオーラを取り込み始めていく。その様子に固まっていたヴィクトルとルドガーがようやく動き出し、驚愕と怒りを込めた声で男の名を叫ぶ。二人にとっては余りにもゆかりのある男の名前は―――


『ビズリーッ!』


 突然の襲撃者の名前はビズリー・カルシ・バクー。ルドガーにとっての実の父親である。何が目的でこの場に来たのかは明白だ。ビズリーはここで邪魔者を始末して願いを叶える権利を手に入れるつもりなのだ。彼はかつて、精霊を道具にして人間だけの世界を作ろうとした者である。

 ルドガーにとっては精霊よりも黒歌やエルの方が大切ではあるが、だからと言ってそれを許せるというわけではない。何より、目の前で少女が傷つけられているのを黙って見過ごせる人間ではない。ルドガーは動けないヴィクトルの代わりにすぐさまビズリーの元に駆けだそうとする―――が、その瞬間焼け付くような痛みがルドガーの顔の右半分を襲う。

「がああああっ!?」
「あれ程の力を酷使したのだ。今までもっていた方が不思議なぐらいだ」

 どす黒く染まる顔の右半分を抑えてのたうち回るルドガーにビズリーが当然だとでも言いたげに声を掛ける。ルドガーは骸殻の使い過ぎにより時歪の因子化(タイムファクターか)が限度を超えて進行してしまったのだ。ルドガーの元にすぐに黒歌達が駆け寄っていくがルドガーは痛みに苦しみ続けるだけだった。

「ビズリー、貴様…っ! エルの力でよくもっ!」
「娘を利用したお前が言うか。クルスニク一族らしいのは私だけではないはずだが?」
「貴様と一緒にするなぁぁあああっ!!」

 怒りにより限界を超えた体を無理やり動かして銃をビズリーに放つヴィクトル。だが、ビズリーは軽く首を捻るだけで銃弾を躱してしまう。そして、もう十分だと判断したのかオーフィスから槍を抜きさる。支えを失った彼女は糸が切れたように地面へと倒れて苦しげに息をすることしか出来ない。ビズリーは彼女にはもう用がないとばかりに目もくれずに彼女を貫
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