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SAO−銀ノ月−
第七十八話
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ッケー!」

「…………」

 会話が通じない。というか彼女と会話出来る気がしれない。とはいえ、初めてこの世界で知り合えた人物を無碍にする訳にも行かず……一度頭を抱えた後、笑顔でガッツポーズする踊り子に、ゆっくりと話しかけた。

「その……こんな格好してるけど男なんだ。悪いな」

「ううん、それはむしろ超オッケー! でもそういうアバターって、プレイ時間が長ければ長いほど出やすくなるらしいけど、そこらへんどー?」

 リーベの言葉に自らの芸者のようなアバターのことを思いだし、風に揺れ動くロングヘアに少しばかり憂鬱になる。プレイ時間が長ければ云々、という噂話は確かリズから聞いたことがあったが……それは二年間もフルダイブしていれば、間違いなくプレイ時間は最長だろう。

「いや……確かに別ゲームからのコンバートだけど、プレイ時間はそうでもない」

「ふーん……?」

 そうは言っても、わざわざかのデスゲームのことを言う必要はない。そうして適当にごまかしたものの、何故かリーベは疑わしげにこちらを覗いてきた。じっくりとこちらを見てくる真紅の瞳から、ばつが悪く目を逸らした後、さらに質問を続けていく。

「友達とBoBって大会に出ることにしたんだけど、どこか武器屋……みたいなのはあるか?」

 BoB――《バレット・オブ・バレッツ》。本日この世界で行われる大会であり、GGOにおけるトッププレイヤーにおける祭典だそうだ。俺とキリトはまず調査の一環として、その大会に潜り込むことにしていた。

 ……もちろんキリト曰わく「プロがいる」このゲームのトッププレイヤーに混じって、キリトだろうと勝ち残れるとは考えてはいないが、そこから《死銃》の情報を得られると考えてのことだ。トッププレイヤーともなれば、それに比較して情報量も多いだろうし……前回優勝者である《ゼクシード》のように、直接狙われることもあるかもしれない。

「武器屋? ガンショップのことならもちろん案内してあげるよ! コーディネートしてあげるって言ったでしょ?」

 いや、案内するだけでいい――とノリノリの彼女に言いかけたものの、俺は銃のことなど何も知らない。知らないどころかモデルガンすら触ったことのない自分には、ガンショップに1人で行くのは荷が重い。……コーディネートと言われると、彼女の格好を見るにとても不安だが。

「はい! じゃあこっちこっち! 迷わないようにウチについてきてね!」

 リーベは口笛を吹きながらご機嫌に走り出した。手を振る事に連動するように、腕についた透明のレースが揺れる。人混みに構わず走るものだから、見失わないように小走りに追いかけていくと、道並に少し違和感を覚えた。

 まさしく踊り子の格好のリーベに対し、道行く大多数のプレイヤーはBoB
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