第七十八話
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は不可能な筈だ。
「……ふぅ」
まさか何らかのバグかと思い至り――何せバグに関しては前歴がある――一番手っ取り早い方法として胸を確認してみると、そこには無駄に鍛え抜かれた胸筋があってホッとする。歌舞伎の女形とかいう設定なのだろうか、どうでもいいが。
「…………」
もうどう反応していいか分からないといった具合に、慌てふためくことも出来ずにただ沈黙する。これは死銃とか関係なく、リズを連れてこないで助かった――などと現実逃避していると、後ろから声をかけられた。
「あ! あのそこの女のキミ!」
その声につい振り向いてしまうと――無論女のキミに反応したわけではなく、その高音の大声に反射的に反応し――自分以上に、この異世界には似つかわしくない人物が、こちらを見上げていた。
……最初に考えたそれは、踊り子だった。少なくともこの銃と硝煙の世界には似合わない、あるいは酒場にでもいるかいないか、といった具合の服装で。
「そのアバター可愛いね! でもその装備、まだ始めたばっかりなのかな?」
混乱する俺に対して、ピンク色の踊り子はあけすけに俺の手を掴むと、マシンガンのように話しかけてくる。
「オッケー! じゃあウチがコーディネートしてあげる!」
「え? ちょっ……」
見た目からは想像もつかないほどの踊り子の筋力値により、何の抵抗も出来ずにそのまま踊り子に引っ張っられていく。踊り子は俺のことを気にすることもなく、口笛を吹きながら早々と走り出し、あっという間にメインゲートから離脱してしまう。
「ちょ、ちょっと……待てって」
ようやく平静を取り戻して手を弾くと、踊り子は不思議そうな顔をしてこちらを覗き込んできた。服と合わせたピンク色の髪を左右で結んでおり、一際目立つ真紅の瞳が俺を見つめてくる。
「あ、ごめんごめん! 遅れちゃったけどウチの名前はリーベ! よろしくね!」
「えっと……」
納得したような表情をして自己紹介をする、マイペースな踊り子――リーベに対し、俺は困ったように髪の毛を掻く。明るいのか天然なのか電波なのか知らないが、完全にこの名前しか知らない踊り子のペースにのせられている。
……どうやら自分は、ピンク色の髪をした女に縁でもあるらしい。
「名前は……ショウキ。……男だ。それで君は――」
「えーっ!」
まず何から言う事にしようかしばし考えた後、とりあえず自己紹介と性別の訂正を済ませ、それから様々なことを聞こうとしたが、リーベが発した驚きの叫びにかき消されてしまう。その叫びを発した直後、リーベの動きはピタリと止まり、どうした――と話しかけた瞬間、彼女のガッツポーズが俺の顔の前に差し出された。
「男でもオッケー! いやむしろ……超オ
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