第七十八話
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、という怪事件があったという。
そのゲームの名は《ガンゲイル・オンライン》――通称GGOと呼ばれる、今までの世界とは逆の銃と硝煙の世界。荒廃した近未来における云々――などと、深く設定はされているようではあるが、そのことは俺の興味ではない。
SAO事件からずっと戦い続けている、侍のアバター《ショウキ》が銃の世界に適応されるようにコンバートされていき、俺は……《ショウキ》は新たな世界で目を開けた。
「ん……」
まず飛び込んできたのは雑踏の騒音。商店街にでもログインしたのか、まず俺の意識に考えられたのは、そんな感情だった。フルダイブした時特有の、乗り物酔いのような気持ち悪さを鎮めていくと、ゆっくりと辺りを見渡した。
どうやらメインゲートと呼ばれる天下の往来らしく、多種多様なプレイヤーが跋扈している。そんな光景は見慣れたものだったが、道行くプレイヤーが色とりどりの美しい妖精などではなく、百戦錬磨の傭兵たちのような格好ばかり。本当にALOではない異世界に来たのだと、改めて実感し直した。
「鏡、鏡……」
それはそうとして。ALO事件の折にシルフとしてログインした際に、限りなく似合わない金髪のお坊ちゃまアバターが割り当てられたことを思い出すと、慌てて近くの鏡を探しだした。最初にプレイヤーがログインするところならば、確認用の鏡があるだろうと踏んでのことだったが……その予想は正しかったらしく、すぐに目的の鏡を見つけだした。
――そして目を逸らした。
「…………」
……どうやら自分でないプレイヤーが映り込んだようだ、この鏡め壊れておるわ――などと自らに言い聞かせながら、もう一度チラリと見るものの、もちろん全くその姿が変わることはなく。鏡の中にいるプレイヤーは、自分の癖である髪をクシャクシャと掻く癖を、完全に投影していたのだった。
「……芸者?」
鏡に映る自分の姿を見た最初の印象は、京都あたりにでもいそうなソレだった。ALOのシルフ領の領主、サクヤのような姿というのが一番イメージしやすいか――周りに屈強なガンマンや仕事人の傭兵が居並ぶ中、このアバターは違和感があるどころの話ではないが、海外の間違ったイメージが具現化でもしたのだろうか。
ALOで日本刀を持っていたことが原因か、でも身長や背丈があまり変わらないで助かった、そういやキリトはどうしたんだ……と様々な考えが錯綜する中、最後に去来した思考は、このアバターはキチンと男かどうかだった。かのデスゲームの主催者は、フルダイブ環境下における性別の違うアバターについての危険性、ということに気づいていたらしく、ゲーム開始時の《手鏡》によってアバターは変更させられた。故に後発のフルダイブゲームにおいても、基本的には現実と違う性別になる、ということ
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