第七十八話
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先日、何度ループしたか分からない話題が再度、勝手に口から漏れて出てしまう。結局は、心配をさせないほどに早く解決するしかない、という結論にたどり着く訳だけども。
……と、二人で無意味な時間を過ごしていると、目の前の病室の扉が開き、1人の看護士が姿を表した。
「ん? 何を悩んでるのかな、青少年たち?」
「安岐さん……」
安岐ナツキ。この病院に所属しているらしい、SAO事件を担当していた看護士の方の1人だ。その掛けているメガネが怪しげに光ると、興味津々て言った様子で和人の肩にもたれかかった。
「そういう悩みは大人に相談してみるものよ?」
「あー……その、遠慮しときます」
身の危険を感じたかのように和人はじわりじわりと安岐さんから離れながら、丁重にその申し出をお断りしていた。安岐さんももちろん冗談だったらしく、小さく笑いながら立ち上がると、先程出て来た病室を指差した。
「青少年は悩むのが仕事だからね、悩みなさい悩みなさい。じゃ、準備出来たみたいよ」
安岐さんが指差した部屋をチラリと覗き見てみると、通常のフルダイブ環境では考えられないほどの、一目で厳重な注意がなされていると分かる機械群だった。素人には何がどの機械だのはもちろん分からないが、それほどまでに重大なことなのだと感じさせられる。
「これは……」
俺よりは遥かに機械に造詣が深い和人は、その機械群を見て小さく何かを呟いた。どうした? ――と和人に聞くより先に、安岐さんに背中を押されて二人して入室する。
「ほらほら、時間推してるんでしょ。服脱いで入った入った」
「えっ」
確かに見れば肌に接着するようなコードも見え、手術台のような様相も呈している。無論、そのコードは服の上から吸着できるようなタイプではない訳で、必然的にフルダイブするには服を脱ぐしかない。
「大丈夫大丈夫。現実の二人の身体は、私が見てるからさ」
「それが――」
「脱ぐの上半身だけでいいですか」
それがむしろ不安――と言いかけた俺の横腹を和人の肘が捉え、すんでのところで安岐さんに失礼なことを言うのは抑えられた。そして和人の申し出通り上半身の服を脱いで――というか、手術をする際に使う薄い服が用意されていた。思ってみれば当然だったが。
「向こうの世界でな、翔希」
「ああ」
安岐さんに他のスーツ姿の青年が機械を接続したりチェックする中、俺と和人は最後の確認を行っていく。集合場所や目的など、話し合っているうちに安岐さんたちの準備は完了し、俺と和人は口を揃えてそう言い放った。
――リンク・スタート、と。
俺にとっては三つ目の仮想世界。そこでは、ゲーム内で放った攻撃が現実でプレイしているプレイヤーを殺した
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