魔法の世界 1−1
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さて......ここは、何処だ?
見慣れ無い風景に建築物。行き交う人々の中に、俗に言う『普段着』を身に着けている者はいない。マントにトンガリ帽子。その殆どが黒。中には、暗い緑や暗い紫色が見受けられるが、光の無い場所ではやはり黒に見える。
さて、先程から周りの輩達がコチラをちらりと観察してくるのだが、この格好に何か不満でもあるのだろうか? ......ん?
はて? 俺の手はこんなに小さかっただろうか。いや、手だけではない。俺自体が小さくなっているのか。
俺の思考を邪魔するかのように、何か大きな物がぶつかる。小さい体は見た目以上に軽いらしく、踏ん張ったつもりだったが簡単に弾き飛ばされた。
「おお、すまんかったの」
「前ばかりではなく、下にも注意して歩くことだな。いつか痛い目に合うぞ」
ぶつかったのは物ではなく人間だった。それも、大きな老人だ。俺が注意するように言い聞かせると、周りの輩達がざわつきだした。人を軽蔑するような、珍しい物を見るような、そんな視線がうっとおしく感じる。
老人が差し出した手を借りず一人で立ち上がると、その視線は更に集中した。
「名前は何と言う?」
「まだ無い、と言った方が分かり易いか? だが、お前の長ったらしい名前は知っているぞ」
「...なら、儂について来なさい」
なにが“なら”なのか分からないが、このまま周囲からの視線を浴び続けるつもりも毛頭なかった為、助かったと素直に喜んだ。
大きな老人が進むと、ごった返していた人の群れが別れて道を作り出す。俺もその後に続いた。
やがて人気の無い住宅街にやって来ると、老人は歩きながら口を開いた。
「お主...何者じゃ?」
俺は只、「死神」とだけ答えた。それに対して老人は、俺が異世界の住人であると見抜く。
更に足は進み、一軒のドアをくぐった。
中には誰もおらず、埃と蜘蛛の巣に塗れたテーブルに誘われる。老人は軽く埃を払い落とし、汚れてしまうのも気にせずそこに座った。俺も同じようにして腰を降ろす。
「さて...」と、口火を切ったのは老人のほうだった。
「お主は、異なる世界の住人で間違い無いかの?」
「厳密には違うが、まあそんなところだ」
「と言うと?」
「異なる世界と異なる世界の境の向こう側...つまり、狭間だな。俺は、そこの住人なんだ」
老人の質問にはなるべく答えるようにした。まあ、秘密事項も多々あるが、老人はそれに引っ掛からないような質問ばかりする。時折、意地の悪い子供のような顔をして、カマを掛けようとしたりもした。
このジジイ...。予想以上に喰えない男だ。
老人の質問の中には、俺が答えられないもの
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