7部分:第七章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初
願いします」
何時しか僕達に顔を向けての言葉になっていた。
「何があっても」
「私達も」
僕達もまたこのことを誓い合った。僕達が知らなかった日本人のことを皆に伝えることを。今度の台湾への旅はただ台湾に来ただけじゃなかった。日本にも来た旅になっていたのだった。
約束した僕達に。馬さんはまたその笑顔を向けて声をかけてきた。
「それでですね」
「ええ」
「何ですか?」
「これが終わったらですけれど」
話は次に移っていた。
「何処に行かれますか?」
「ええと、まあいい時間ですね」
「お昼なんかは」
「それでしたら飲茶なんかどうですか?」
にこやかに笑って勧めてきてくれた。
「飲茶は。また一ついいお店を見つけまして」
「あっ、いいですね」
「それじゃあ」
「勿論麺もありますよ」
これは欠かせなかった。やっぱり中華といえば麺だった。
「豚を使ったね」
「豚ですか」
「いいですね」
「昨日は海鮮でしたよね」
「御存知だったんですか」
「顔に書いてありましたから」
笑顔で僕達に言ってきた。
「だからですよ」
「そうだったんですか」
「はい。ですから今日は豚を」
また提案してきた。
「どうかと思いまして。如何ですか」
「そうですね。それじゃあ」
「それで御願いします」
「豚足なんかもありますしね。では」
「行きますか」
「そのお店に」
僕達は笑顔で勧化堂を後にした。広枝警部のことを思いながら。警部は今もそこにいる。日本人の誇りをそこに残して。静かに山の中にいるのだ。そのことを思うと台湾、そして日本のことがいとおしくてたまらない。日本に帰って来た今もそう思ってやまない。
観化堂の隊長 完
2008・11・7
[8]前話 [9]前 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ