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観化堂の隊長
7部分:第七章
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願いします」
 何時しか僕達に顔を向けての言葉になっていた。
「何があっても」
「私達も」
 僕達もまたこのことを誓い合った。僕達が知らなかった日本人のことを皆に伝えることを。今度の台湾への旅はただ台湾に来ただけじゃなかった。日本にも来た旅になっていたのだった。
 約束した僕達に。馬さんはまたその笑顔を向けて声をかけてきた。
「それでですね」
「ええ」
「何ですか?」
「これが終わったらですけれど」 
 話は次に移っていた。
「何処に行かれますか?」
「ええと、まあいい時間ですね」
「お昼なんかは」
「それでしたら飲茶なんかどうですか?」
 にこやかに笑って勧めてきてくれた。
「飲茶は。また一ついいお店を見つけまして」
「あっ、いいですね」
「それじゃあ」
「勿論麺もありますよ」
 これは欠かせなかった。やっぱり中華といえば麺だった。
「豚を使ったね」
「豚ですか」
「いいですね」
「昨日は海鮮でしたよね」
「御存知だったんですか」
「顔に書いてありましたから」
 笑顔で僕達に言ってきた。
「だからですよ」
「そうだったんですか」
「はい。ですから今日は豚を」
 また提案してきた。
「どうかと思いまして。如何ですか」
「そうですね。それじゃあ」
「それで御願いします」
「豚足なんかもありますしね。では」
「行きますか」
「そのお店に」
 僕達は笑顔で勧化堂を後にした。広枝警部のことを思いながら。警部は今もそこにいる。日本人の誇りをそこに残して。静かに山の中にいるのだ。そのことを思うと台湾、そして日本のことがいとおしくてたまらない。日本に帰って来た今もそう思ってやまない。


観化堂の隊長   完


               2008・11・7

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