第一部
一章
鉄人マークV 1-出撃!鉄人マークV
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この夏が終わっちまう、て事だ!
部屋を飛び出して1Fに駆け降りる。
ママはリビングで電話しようとしていた。
「ママ!パソコン買ってよ!すぐに!」
ママは怪我んな顔をしながら手で「あっちに行け。」と言った。
クソ!確かに「はいどうぞ。」て買い物じゃないし、PCを買ったところでネットに繋がるかは怪しい状況だ。
どうする?里谷のウチでやるか?
いや、今日だけ出来ても意味ねえし!
頭を抱える僕にママが
「コータ、家電屋さんに付き合って。せめてテレビと冷蔵庫は買わないと。」
ふう、そんな気分じゃないけど、万が一PCを、てのもあり得るか。
部屋に戻って着替える。選ぶほど服はない。いつも着ている「アディダス」のジャージ上下。
目立つことを嫌う僕らしく、ネイビーに白い三本線だ。
スニーカーも白い「アディダス」のテニスシューズ。それを履いて玄関を出る。
ママが「ベンツ」のエンジンを駆けて待っている。
右から助手席に乗り込んだ。
「パパがカード使っていい、て言うからテレビと冷蔵庫を買っちゃうわ。」
「!」パパのカードは上限なしだ!上手く言ってハイスペックなPCをゲットだ。
ついでに無線LANも契約出来れば、尚いい。
「ママ、PCが無いと夏休みの宿題も、研究レポートも出来ないんだよ。買っていいでしょ?」
思い切りの猫なで声だ。
「そうなの?でも高いんでしょ?」
前を向いたまま、ママが言う。
「一番安いやつで我慢するから。」
もちろん嘘だ。でもママはPCの相場を知らない。
家から15分ほどの家電量販店に着いた。
昔から何の家電を買うのもここだ。どこに何が売ってるか頭に入っている。
車が停まるなり飛び出して走り出した。
「ママは冷蔵庫見てるからね!」
後ろからママが声をかけてきたが、無視だ!
PC売り場に直行した。
実はもう買う機種は決めている「GALLERIA」だ。
オンラインゲームに最適だ。
前回も欲しかったけど、その時はパパが一緒で、PCにも詳しいパパに
「ゲームをするためにPCを買うわけじゃないぞ。」
て言われて叶わなかったんだ。
今日はパパは居ない。既成事実、事後報告ってやつさ。
さて問題はXFかXG、いやこの際ZGにしてやろうか。
「ひひひ」自然と顔がほころぶ。
えっと、確かこの辺に展示してあったはず。
無いな。場所が変わったのか。
店員さんに聞こう。
見回すとバックヤードに行こうとドアを開けている店員がいる。
「あ、すみませーん。」
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