2部分:第二章
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第二章
「聞いたことないけれどさ」
「それが私もよく知らないのよ」
玲子の方もこう返してきた。
「どんな場所かって言われても」
「何だよ、知らないのかよ」
こう言われると僕の方も何て言えばいいのかわかりかねた。とりあえずワインを飲む。個人的には中華料理には赤が合うと思っているのでそれだ。見たら日本産、甲州ワインだった。どうも日本人の観光客のことを考えてこのワインにしているらしい。そういえば台湾のワインはあまり聞いたことがない。中国のならあるが。
「玲子も」
「少なくともこことは違うらしいわ」
「台中とは?」
「ええ。こう言ったら何だけれど」
「田舎なのかな」
今僕達が楽しくやっているここは台中という。台湾では大きな街の一つだ。ここにも何度か来てそれで今いる店とも馴染みになっているというわけだ。
「ひょっとして」
「ひょっとしてじゃなくてもそうみたい」
玲子も玲子で食べて飲んでいる。フルーツを食べてついでにワインもやっている。食べているのはよく見なくても僕と同じものばかりだ。ただし僕の方がかなり食べてはいる。
「それも結構ね」
「ふうん。それでも何かあるんだろうね」
「お寺かしら」
玲子はふと思い出したように言ってきた。
「それって。お寺かしら」
「そうじゃないの?」
僕も特に考えることなく答えた。
「中国のさ。ほら、道観」
「ああ、あれね」
それが何なのかは玲子にもわかった。僕の言葉にすぐに頷いてきた。
「あれなのね」
「そう、あれじゃないの?」
僕は特に考えることなく玲子に話した。
「あれをさ。見に行くんじゃ」
「台湾にいたらよく見るものじゃない」
玲子は首を少し捻って述べた。
「それなら」
「そうだよね。けれど何で行くんだろ」
「さあ」
「ガイドの馬さんに聞いてみる?」
「そうね。それじゃあ」
ここで玲子は自分の椅子の横に置いてあったバッグの中から携帯電話を取り出した。それでメールを打とうとするがすぐに止めた。
「今は止めておくわ」
「お店の中だよ」
「そう、だからよ」
彼女もそのことに気付いたようである。
「止めておくわ。無作法だからね」
「そういうことだよ。だから後でね」
「ええ。馬さん何処にいるの?」
僕は今度はこのことを玲子に尋ねた。
「馬さん。ホテルだったっけ」
「確かそうだったと思うわよ」
玲子は目を右斜め上や左斜め上にやって考える目をしたうえで僕に述べてきた。かなりワインを飲んでいるのに思考力は落ちていないらしい。それは僕もだが。
「今はね」
「そう。だったらホテルに行って聞く?」
「ええ、そうしましょう」
玲子も僕の考えに賛成してきた。
「それで充分間に合うしね」
「そうしようか。じゃあまずは」
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