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英雄は誰がために立つ
Life4 帰郷
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士郎の言葉――――念話が送り込まれた。

 (後ろを向くな一誠。リアスの手前で、グレモリー公爵並びにグレモリー夫人に、いい印象を付けたいんだろ?向けば気づかれる。それと質問も無しだ。これは特別な秘密用回線の念話術式なんだが、一方通行のため、お前の方から返されるとバレるんだ)

 士郎が今使用している術式は、フィリップ・アーレルス――――パラケルススが作成したモノなので、そんな中途半端な代物では無い。
 単に士郎が、その方面の魔術の才能が残念なだけだ。
 兎も角、一誠は士郎に念話からの指示に従い、ゼノヴィア達と同様にぎこちなくだが確実に料理を口に付け始められていた。

 (何とかなった・・・。ありがとう、士郎さん!・・・・・・って、あれ?)

 漸く手を付けられたため、余裕が出来たのか、小猫が料理に一切手を付けていなかった。

 (小猫ちゃん、如何したんだろう・・・――――)
 「ところで兵藤一誠君。ご両親は元気かね?」
 「は!?はいぃ!勿論元気ですぅ!!」

 突然のグレモリー公爵からの言葉に動揺したのか、若干、ギャスパー口調で返事をする一誠。
 そこから一誠が、冗談交じりで土産を要求されたましたと言うと、それを聞いたグレモリー公爵は手を親伊指と薬指で顎を掴むように触りながら考え込む。
 そして直に手元の鈴を鳴らすと、何故か士郎が近づいてきた。

 「御用でしょうか」
 「うむ。兵藤一誠君のご両親宛に館――――いや、城を一つ用意しろ」
 (城ぉおおおおおおおぉおおおお!!?)

 グレモリー公爵の突飛過ぎるアイデアに、今日一番の驚きを見せる一誠。
 しかし、そこで士郎はすかさず意見する。

 「お言葉ですが旦那様、兵藤一誠様のご両親は平民ですので、かえってご迷惑になるでしょう。最悪、良い御関係が続いている流れを壊して仕舞いかねませんので、如何かお考えを改めた方がよろしいのではないでしょうか?」
 「そ、そうです、お父様。一誠のご両親は、それ程物欲の強い方々ではありませんし、建てたと仮定しても良からぬ噂を立ててしまいます!」
 「なるほど」

 士郎とリアスの連携による反論の意図に納得がいった様で、城の建設を食い止められた。

 「兵藤一誠君」
 「は、はい!」
 「これからは、私の事をお義父さんと呼んで構わない」

 お土産の件は済んだと言うのに、グレモリー公爵の一誠への干渉は如何やらまだ続く様だ。
 しかし、その考えも妻のヴェネラナから却下された。
 この事に、自身は急すぎるきらいが有る様だなと、反省した。

 「兵藤一誠さん。一誠さんと呼んでも構わないかしら?」
 「は、はい!異論など有りません!」

 グレモリー公爵の次は如何やらグレモリー夫人の干渉が始まる様だ。
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