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英雄は誰がために立つ
Life4 帰郷
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 ヴェネラナの眼光により、縮こまっていたグレモリー公爵と、こういっては何だが、所詮は形だけの品と思っていたグレモリー夫人の2人は、純粋に驚きと関心の表現として、それぞれの反応をした。

 「なかなかの品に思えるが、良いのかね?士郎君。相当な値打ちモノだろうに」
 「いえ、そんな事は――――」
 「今は謙遜など要りませんよ?それの相当な魔力が籠っていますから、只の美術品(・・・)と言うようなモノでは無いのでしょう?」

 見目麗しいが流石は悪魔。
 一目で魔力が籠っていると見ぬいた様だが、実用品では無く美術品と称した。
 だが、無理も無い。
 この様な場で渡す金属製の品が実用品であるなど誰が想像できようか。

 「失礼を承知で申し上げますが、これは実用品(・・・)です。それに決して悪気があるのではないのですが、これは贋作なのです」

 士郎の言葉に二重に驚く2人。

 「実用品とな!?」
 「それに贋作とは・・・。それにしてもよく出来ていますが、流石に贋作だと理解して謝罪の品として差し出すには不適切ですわよ?士郎さん」
 「はい。それも重々承知の上ですが、それをこれから説明させて頂きます」

 士郎の魔術特性については、士郎の身内同然である『あの5人』と、駒王協定締結の日に出席した人物たちだけの機密事項扱いだったので、信頼の証としての理由も含めて説明した。

 「――――と言う事なんです」

 説明し終える士郎に、神妙な顔つきになる2人。

 「我々悪魔には使えない魔術には、確かに投影魔術と言うモノがある事は知っていたが、士郎君は規格外だな」
 「恐れ入ります」
 「けれど士郎さん。この楯の真価は貴方にしか使えないのではなくって?」
 「確かにおっしゃられる通りですが、これをこの城の蔵にでも暫く置いてくださっていれば、一応グレモリー公爵並びにグレモリー夫人(御2人)を、主と認識するでしょうから、御2人の危機が迫れば金切音が鳴り響きます。それに、相当な防御力もありますのでいざとなれば楯としても使えます」

 士郎の説明に一応の納得をする2人。
 そこで、呼び鈴を鳴らすと廊下からグレイフィアが入室して来た。

 「グレイフィア、この楯を広間の一画に飾っておきなさい」
 「畏まりました。奥様」

 ヴェネラナの指示により、アタッシュケースに近づくグレイフィア。
 それに焦る士郎。

 「え!?いいんですか?これは事前にもお伝えしたとおり贋作なのですが・・・」
 「勿論判っていますよ。ですが、士郎さんの創り出したこの楯は、ある意味本物以上なのでしょう?でしたら我が家で堂々と飾る価値があるのです。ねぇ、あたな」
 「うむ。例え贋作であろうと、士郎君の創り出した物だ。これを蔵に仕舞
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