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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百十四幕 「残影乱舞」
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つまり、その時点でユウと簪に出来る事は――ただただ逃げ惑いながらバリアエネルギーを温存してこの宙域から脱出するか、助けが来るのを待つかだ。
「簪!簪、無事!?」
手探りで簪の居場所を探しながら声をかける。まったく見つからないが確かこの辺りで声が聞こえた筈――と、向こうから返答があった。
「ばかユウっ!なんで来たの……!?」
「なっ!?ば、馬鹿はないでしょ!何所の世界にパートナーを見捨てて逃げる奴がいるのさっ!」
「罠だって……ちゃんと言った!」
「聞いてた!」
「二人で固まるより、バラバラに行動する方が、生存確率が……」
「知ってた!」
「じゃあ、何しに来たの……!?」
何をしに来たのか。
助けに来た……?なんか違うな。助けられない状況で駆けつけてもそれは助けにならない。
ただ、簪の悲鳴を聞いたときには体が動いていた。簪がやられてるって気付いた瞬間に、気が付いたらそっちに強く意識を持って行かれていた。
要するに、これはそもそも論理的行動ではないということだ。それを言語で表すならば――
「………よく分からない!でも、簪を置いて逃げたくないから引き返してきた!!」
「ばか!直情径行あんぽんたん!!」
「さっきから馬鹿馬鹿言わないでよね!それよりも敵を――」
簪を探す手が――むにゅっ、と、手が何か柔らかいものを掴んだ。
「ひゃあっ!?」
「そこか、簪!今いくからちょっと待って!」
身体の何所かは分からないが多分簪だろう。それを逃がさないようにしっかり掴み、近づく。
どうにか視界に見慣れたアンロックユニットが見えた。どうやら後ろから近付いてしまったらしい……のだが。
「ゆ、ゆ、ユウ………そこ、掴んでるところ……わ、私の、お、お、お尻……!」
「そこに居たんだ、簪!大丈………はいぃーーッ!?」
「そんなに、強く掴んじゃ、だめぇ……へ、変な気分に、なっちゃうからぁ……!」
自分のマニュピレータを見る。ISのマニュピレータは人間の掌と感覚がある程度リンクしており、硬い柔らかいくらいの感触は分かるのだが――その手が、彼女の可愛らしいヒップを鷲掴みにしていた。そんな馬鹿な……こういうのは一夏の仕事の筈だ!まさか、最近一夏がラッキースケベをしていないせいでユウの所にセクハラの神が降り立ったとでも言うのだろうか!?
「うぇあああああああーーーーッ!?ごごごごごゴメン!!本っ当にゴメン!何か妙に触り心地がいいなぁとか思ってたんだけどまさかお尻だとは……!!」
「お尻、じんじんする………そんなに、触り心地、良かったの?………すけべ」
「違う!違……あ、いや触り心地の良し悪しの話じゃなくてその、ともかくお尻を掴む気は……!」
「何度も、お尻って、言わないで……!」
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