第二百十一話 磨上原の合戦その三
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「では今よりじゃ」
「うむ、戦じゃな」
「御主とまた会いたい」
「わしもじゃ」
政宗もこう言ってだ、そしてだった。
両者はお互いの軍勢の中に戻った、政宗は戻るとすぐに全軍に言った。
「攻めるぞ」
「こちらからですな」
「仕掛けますか」
「兵はこちらの方が遥かに少ない」
ここでも兵力の話だった。
「しかしだからといって消極的になってはじゃ」
「気後れしますな」
「織田に」
「だから攻める」
それがない様にというのだ。
「こちらからな」
「そしてですな」
「ただ攻めるだけでなく」
「我等が、ですな」
「この戦に」
「そうじゃ、勝つ」
そう考えているからこそというのだ。
「その為にもじゃ」
「ではこちらからですな」
「一気にですな」
「攻めてそうして」
「勝つのですな」
「そうするぞ、いいな」
政宗はこう言って手筈通り足軽達は片倉と成実に任せてだ。自身は自ら鉄砲騎馬隊を率いた。そうしてだった。
そのうえでだ、織田軍より先に動いた。信長は織田の軍勢の本陣からその動きを見て全軍に対して告げた。
「正面の軍勢はじゃ」
「はい、あの者達はですな」
「こちらで、ですな」
「そうじゃ、確かに風はあちらにある」
織田から見て向かい風はそのままであった、今も強い風が彼等の顔を打ち付け旗を強くたなびかせている。
だがそれでもだとだ、信長は言うのだ。
「しかしじゃ」
「このままですか」
「守るのですな」
「鉄砲を構えてじゃ」
そして、というのだ。
「そのうえでな」
「弓矢と槍も使い」
「そうして」
「武具の質はこちらが上じゃ」
織田の方がというのだ。
「かなりな」
「はい、鉄砲も」
「弓矢も槍も」
「刀もですな」
「そして具足も」
「そうじゃ、遥かに上じゃ」
これが織田の軍勢の強みでもある、尾張や近畿等兵が弱い地域の者が多い織田の軍勢を誰よりもよく知っているからだ、信長は武具をよくしているのだ。
「それで戦えばな」
「例えこの風でも」
「戦えますな」
「そうじゃ、それに数もある」
織田の方がというのだ。
「だからじゃ」
「闘えるからこそ」
「ここで守り」
「そして、ですか」
「数を頼りに」
「足軽達は次第に押していく」
守りつつ、というのだ。
「よいな、数と武具で戦うのじゃ」
「畏まりました」
「ではその様に」
「そしてじゃ」
信長はさらに言う、次に言う相手はというと。
「伊達の切り札鉄砲騎馬隊じゃが」
「何といってもあの者達ですな」
細川が信長に問うて来た、戦では柴田や佐久間はおろか明智達にも遅れを取ると言われているが彼も戦ではそれなりのものがあるのだ。
それでこの場にもいてだ、信長に応えたのである。
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