第五十話 明かされる真実その十
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「それはね」
「わからないんだな、先輩も」
「うん、君達と伯爵の接点はね」
それはというのだ。
「そこがどうもね」
「そこは博士に聞くか」
「それに君達も人造人間なら」
それならともだ、智和はさらに話した。
「かなり高度な生物学、科学の知識が必要だよ」
「あたし達を生み出すにもな」
「それこそ魔法、錬金術の様な」
「魔法かよ」
「科学と魔法、錬金術は実は根は同じだというのはね」
「ああ、先輩もそうした考えだったな」
「そうだよ、僕もそこは博士と同じだよ」
智和は自分でこのことを認めた。
「科学は一つの分野だけで最高のものじゃないんだ」
「魔法や錬金術とも重なっているか」
「そう、そうしたものだよ」
「それじゃああたし達も」
「若しかするとね」
智和は眼鏡の奥の目を光らせて薊達に話した。
「錬金術師がね」
「そうか」
「僕はそう思うよ。何はともあれ」
「博士のところにだな」
「行こう」
微笑んでだ、智和も言った。
「これからね」
「よし、それじゃあな」
薊は確かな顔で智和に応えた、そうして。
智和を加えた一行は今度は八条大学の博士の研究室に向かった。事前に智和が博士に連絡をしていた。
博士は一行をすぐに自身の研究室に迎え入れた、そして。
そこでだ、薊達にまずはよく冷えた麦茶と羊羹を出してだ。その二つを楽しみつつ一行にあらためて話した。
「君達も自分自身を知ったか」
「ああ、人造人間だってな」
「そうか、実はわしも君達と会ってからな」
その時からというのだ。
「あらためて調べておったが」
「それでか」
「わかったことがあった」
「あたし達のことか」
「智和君にも関わる」
博士はここで智和も見た、一行は用意された席にそれぞれ自分の机の席に座って話す博士を囲む形で茶と羊羹を楽しんでいる。
その中でだ、博士は智和を見て言ったのである。
「君にもな」
「僕にもですか」
「うむ、まずは君達のことを話そう」
再び薊達に向けた言葉だった。
「君達も人造人間じゃが」
「それでかよ」
「その生み出したのは錬金術師じゃ」
「そうか、やっぱりな」
「そしてその生み出した錬金術師はじゃ」
その彼はというと。
「サン=ジェルマン伯爵じゃ」
「前に言っていた人だな」
「うむ、実はわしも会ったことがある」
「博士の知り合いかよ」
「わしなぞ及びもつかないまでの知識と教養の持ち主でな」
百五十歳以上生きていると噂され様々な博士号を持ち知らぬことはないとまで言われている博士よりもというのだ。
「まさに不老不死でじゃ」
「錬金術もか」
「極めておってな」
「それでそのサン=ジェルマン伯爵がかよ」
「智和君のな」
また智和を見て言った。
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