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鎧虫戦記-バグレイダース-
第33話 暗殺者の武器はナイフが主流
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を拾いながらまっすぐアスラの方向に走って来た。

「いいぜ、来いよ」

アスラの右足は動かなかったのが良かったのか
そこそこ動ける程にまで回復していた。
近距離攻撃にも、これで対応しやすくなっただろう。
しかしこの時、アスラは忘れていた。

 ピンッ!

葉隠は懐から何か丸い物体を取り出した。
そして、上についたピンを引き抜いた。
次の瞬間、アスラは思い出した。

 バシュッッッ!!!

彼は暗殺者だということを。

「うッ!!」

眩い閃光が辺りを包み込み、アスラは目を細めた。
目の前で目くらましをされるなどとアスラは
全く想定していなかった為、葉隠の攻撃から
身を守る為に、反射的に両腕を交差した。
しかし、肝心の攻撃はどこからも来ず
目を開けてみると、目の前には誰もいなかった。

『ア、アイツはどこに‥‥‥‥!?』

葉隠は足音もさせずにジェーンたちの方向へと走っていた。
先程の様子から慌てているように見えていたが、彼は冷静だった。
それにも驚かされたが、視界の先の光景にはさらに驚かされた。
マリー、リオさん、そして迅が、何故か地面に倒れているのだ。
ジェーンとホークアイだけが駆けて来る葉隠を強く睨みつけていた。

「来いよ“暗殺者(アサシン)”ヤロー!」

ホークアイはジェーンの前に立ち
葉隠に銃口を向けた立ちふさがった。 

 ダンッ!!

葉隠は地面を強く蹴り、舞うかのように跳んだ。
横向きに回転しており、左手には“苦無(クナイ)”を持っていた。
これを見たアスラは気付いた。これが彼の投擲法なのだと。
前に進む推進力と横に回転する際にかかる遠心力。
この二つの力を完全に乗せて投げることで
あのスピードと重さを生み出していたのである。

「痛ッ!、クッ‥‥‥‥‥」

右足はまだ完治しておらず、走ることまでは出来そうにない。
アスラは必死になって叫んだ。

「避けろホークアイ!お前じゃ受け切れない!!」

それを聞いたホークアイは少し息をついた。
そして、アスラに叫び返した。

「オレだって男だ!か弱い女の子ぐらい守らせろッ!!」

言葉と裏腹に冷や汗が止まらなかった。
ホークアイをこの場に立たせているのは
ジェーンを命を懸けて守るという決意だけだった。

「‥‥‥‥喰らえ」

葉隠は“苦無(クナイ)”を握る手に力を込めた。
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