第33話 暗殺者の武器はナイフが主流
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クナイ》”の先端は″鎧骨格″の隙間に刺さっていた。
隙間が小さかった為、深くはないが、浅くもなかった。
さっきの投げの後に少しタイミングをズラした事で
二本に注目していたアスラにとっての死角に入っていたのだ。
動きで身を捩るたびに僅かに開く隙間。
そこを狙って正確に当てるコントロール。
「やばい、この男‥‥‥んぐッ!‥‥‥‥相当強い」
ズボッ!!
アスラは鎧骨格の隙間に刺さった“苦無”を
右足から引き抜きながらつぶやいた。
蓋の抜かれた傷口からは鮮血が溢れだした。
この程度の傷ならばすぐに再生するとはいえ
完治までには数分かかるだろう。
それまでは満足に動くこともままならないだろう。
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュンッ!!
ここぞというかのように無数の“苦無”が
アスラに襲い掛かって来た。しかし、さっきより視界は広まった。
まっすぐに飛んで来る物の影に隠れているものも見えている。
だが、問題はその受け方である。この右足では
あの威力の“苦無”を受け切るのは不可能だろう。
『だったら!』
アスラは無数の刃の雨に背を向けた。
左足を立てて、跪いたのである。
通常、この行為は愚行としか呼べないが
こういう場合にはこの技は向いていた。
ガガンッ!ギンギンッ!ガギギギンッ!!
“苦無”は耳に痛い音を立てながら
背中を弾けて地面に落下した。
しかし、血は全く噴き出していない。
つまり一本も体に刺さっていないのだ。
『ほぅ、考えたな‥‥‥‥』
人間の身体は正面に比べて背中の方が耐久力が高くなっている。
例えるなら、丸くなって身を守るダンゴムシやアルマジロを見れば
よく分かることだろう(それと直接的な関係はないが)
甲虫であるカブトムシもそれは同じで、腹部よりも
背中側の方が圧倒的に硬くなっている。
今までアスラは全ての攻撃を正面で受けてきたが
それは、全体的な″鎧骨格″の硬さは同じと思っていて
背中の防御力が特に高いなどとは知らなかったからである。
サウジアラビアに入る前に、迅からアドバイスを受け
もしも日本刀だけでは捌き切れない攻撃があった場合は
背中で受けろと言われたのである。
ガガガンッ!ギンギンギンッ!
「すげぇ‥‥‥‥本当に効かねぇや」
若干ながら傷口に響くが、右足を膝下から付けている事で
地面との接地面を増やして安定性を保っているのだ。
直撃しても、立てている足をズラすことで倒れないようにしている。
ズザッ!
葉隠が再び木の上から降りて来た。慌てていたのか
少し大きな着地音が聞こえたのですぐに分かった。
“苦無”
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