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鎧虫戦記-バグレイダース-
第33話 暗殺者の武器はナイフが主流
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残りの二本は腹部と左腕の"鎧骨格"に弾かれた。
もし"鎧人"でなければ、内臓ごと抉られて
そのまま戦闘不能。死を待つばかりだっただろう。
だが、合金に匹敵する"鎧骨格"の硬度の前では
さすがの重さの乗った“苦無(クナイ)”でも
破壊するのは不可能だろう。だが―――――――

「‥‥ぐっ‥‥‥‥‥」

その一撃は体内にまで響いて、上手く力が入らない。
特に直撃した左腕はひどく、握ることさえままならなかった。

 ザッ! ザザザザザザ‥‥‥‥

今度は近くの木を葉の敷き詰められた中
比較的小さめの音と共に下りて来て
二本の“苦無(クナイ)”を逆手に持ち
両手を前にしたまま接近戦を仕掛けて来た。

「‥‥‥クソッ!!」

アスラの左手は未だ衝撃で痺れたままなので
いつもなら得意なはずの接近戦は
圧倒的に不利な状況から始まることになった。

 ズザッ!

葉隠は少し離れた距離から跳んできた。
瞬間、距離はすごい速さで縮まっていった。
そして、空中から左右の腕が高速で振り下ろされた。

 ガンガガンガンガンガガガンッ!!

アスラは日本刀を右手と左腕の肘で
受けるたびに肘の位置を変えて防御に徹することで
葉隠からの猛撃を何とか防ぎ続けた。

「‥‥‥‥‥‥やるじゃねぇか」

こうつぶやくと同時に葉隠は
急に攻撃を止め、再び木の上に退避していった。
何故かわからず辺りを見回すとアスラは
彼が攻撃をやめた理由について理解した。

『‥‥あれは攻撃兼“回収”ってワケか』

アスラの足元に散らばっていなければならない物。
彼の日本刀によって弾き落とされた“苦無(クナイ)”が
どこにも見当たらなかった。
つまり、彼はアスラに攻撃を仕掛けながら
自らの武器を回収していたのである。
始めは遠距離攻撃して、途中で近距離攻撃をしつつ回収。
このローテーションを繰り返していれば
苦無(クナイ)”が尽きてしまうことはないだろう。
まさに、体力が物を言う作戦だった。
 
 ヒュヒュンッ!

再び“苦無(クナイ)”がアスラに襲い掛かって来た。
先程と変わらず一直線に突っ込んで来ていた。

 ガンガンッ!

「グッ、ングッ!」

一体どんな投げ方をしたら、木の上を高速で移動しながら
大きく振りかぶって投げたかのような威力で
苦無(クナイ)”を投擲することが出来るのだろうか。

 ザクッ!!

「えッ!?」

いつの間にかアスラの右足に“苦無(クナイ)”が刺さっていた。
本来なら、″鎧骨格″の前に弾かれているはずだが
この激痛と目の前の状況。間違いなく刺さっている。

『一体どうやって‥‥‥‥‥!?』

よく見れば“|苦無《
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