第33話 暗殺者の武器はナイフが主流
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お前らを‥‥‥‥殺す」
ヒュヒュッ!!
葉隠の投げた二本の“苦無”が刃の方を向け
アスラに向かって真っすぐに飛んできた。
キキィンッ!!
彼は二本を完全に見切り、日本刀で弾いた。
おそらく、今のは小手調べだったのだろう。
見えない程のものではなかった。
そして、いつの間にか葉隠は姿を消していた。
『逃げた‥‥‥‥‥いや、違う』
逃げたのではない。気配を断ちながら
木の上を高速で動き回っているのだろう。
止まっていれば、迅から位置を教えられるからだ。
しかも、そんな速度で動き回っているのに
木の上からはほとんど音が聞こえてこなかった。
枝に着地する音も、移るために枝を蹴る音も
僅かに吹く風に揺らされる木々の音にかき消されて
アスラの耳には全く聞こえなかった。
これが、暗殺術を極めた者だけが使える技術なのだろう。
『敵ながら、凄い男だ‥‥‥‥‥』
アスラは心の中で、葉隠をこう評価した。
『コイツ‥‥‥俺の位置がわからないはずなのに
未だに集中力を持続してやがる』
音もなく姿も見えない敵と対立していれば、他の物に
意識を持って行かれて、少なからず油断してしまうものである。
しかし、アスラの集中力は未だ
葉隠に向けられたまま途切れずにいる。
戦いの為に常に鍛え続けて来た者ならば
分からない事もない。しかし、今それをしているのは
まだ二十歳も迎えていない、若き少年なのである。
これは、彼の天性の才能と呼べるものなのだろう。
『こんな子供が、凄ぇモンだな』
葉隠も、アスラを高く評価した。
二人のいる戦場には、しばらく
沈黙だけが響き渡っていた。
「‥‥‥‥‥‥‥!!」
ヒュンッ!
ついに葉隠が攻撃を仕掛けた。
かすかに風を切る音が聞こえたかと思えば
縦回転をしながら、アスラの方に
一直線に“苦無”が襲いかかった。
しかも、先程とは段違いのスピードだった。
「ぐっ!」
カキィンッ!
アスラはギリギリで投げつけられた“苦無”を
日本刀を振り抜いて弾き落とした。
しかし、それだけでは終わらなかった。
ヒュヒュヒュヒュンッ!!
今度はほぼ同じタイミングで
別々の角度から“苦無”が襲いかかって来た。
気のせいだろうか、先程よりもさらに
スピードが上がってきている気がするのだが。
ガガンッ!!
「んぐッ!」
それに比例して重さも上がっている。
まるで振り下ろされた槌のような
非常に重さの乗った一撃だった。
速さと重さのある“苦無”の猛撃に
アスラは二本しか防ぐことが出来ず。
ガンガンッ!!
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