しゃべるしゃべる
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いだが、それでも、この使い魔の事で分かった事がある。
それは―――
「ルイズ・フランソワーズが命じる! あのゴーレムを、完膚なきまでに壊しなさい!」
―――良い意味でも悪い意味でも、私を乗せるのが上手いという事だ!
別に、急に鋭くなった眼が恰好いいとか思ったわけではない。
命令と共に熱くなる右手。
そして次の瞬間、アーチャーから、召喚した時の、あの異様な存在感が復活した。
「あ……」
恐らく今のこの状態が、アーチャーの真の姿なのだろう。
そこに居るだけで感じる、肌を指すような、この感覚。
分かる。
私の使い魔こそ最強であるに違いないと、確信できる。
―――ならば。
あんなゴーレムなんかに勝てない筈がない。
負けることなど、万に一つもあり得ない。
「では、命令を遂行しよう」
こちらの興奮などお構い無しに、いつも通りのこの使い魔が、今はとても頼もしい。
私を抱えたまま、ゴーレムから大きく距離を取る。
私をそっとそばに降ろすと、アーチャーは小さく唄った。
その声は平坦に。
「 I am the bone of my sword.」
ゾクリ、と体が震える。
ゴーレムを破壊する為の悍ましい武器が、聞いた事のない言葉と共にアーチャーの手元に現れた。
あれは、剣、なのだろうか。
ねじくれた、凶悪ささえ感じるそれは、だけど、それでも、どうしようもなく美しいと感じてしまう。
頭の片隅で思う。
あぁ、これが、かつてアーチャーが言っていたことか。
私は今、正しくこの剣に魅せられているんだ。
「ルイズ」
アーチャーの声で我に返る。
いつの間にか、手がその剣に向かって伸びていた。
「あ……うん」
慌てて手を引っ込める。
「だ、大丈夫よ」
小さく咳払いをして気を正す。
「では、少し後ろに下がっていてくれ」
そうしてアーチャーは、左手に大きな弓を構えると、その捻れた剣をつがえ、引き絞った。
ん……?
弓!?
こちらの困惑は、しかしすぐにどうでも良くなった。
剣が恐ろしい魔力を発しながら輝き、そしてアーチャーがそれを構えている姿を見た瞬間、『矢』であることこそが、その剣の正しい姿であるように感じたから。
「偽・螺旋剣」
そして、この騒動の私にとっての山場は、アーチャーによって放たれた言葉と一本の『矢』で以て終結した。
音を置き去り、空気を押しのけ。
輝く何かが、邪魔だとばかりにゴーレムを、その背後にあった木々をも、跡形も無く消し去った行った。
――――――――――――
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