2部分:第二章
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当初から中央の力が弱く諸侯の力が強かった。皇帝がいなかった時期さえあったのだ。
「三十年戦争で死亡通知を出されて」
「ウェストファリア条約だね」
「そうした国だよ。名前だけだったんだ」
「領土といってもね」
「そうだね。形だけだった」
実質的にはどの国も独立国だった。それが神聖ローマ帝国だったのだ。
「そんな国が滅んでも」
「どうということはないんだ」
「そうさ。まあ日記には書いておこうかな」
やはり素っ気無いゲーテの言葉だった。
「それ位はいいだろうね」
「本当に何も思っていないんだね」
友人はそんなゲーテの言葉を聞いて述べた。
「そうなんだね」
「そうだよ。じゃあ書いたよ」
見れば日記にだ。ペンで書いていた。本当に簡潔であった。
「これで終わりだね」
「神聖ローマ帝国という国も」
「そうさ。これで終わりだよ」
素っ気無い。あくまでそうだった。そうしてだ。
ゲーテは書き終えた日記を閉じて机の中にしまってしまった。これで何もかもが終わりだった。神聖ローマ帝国はだ。実に素っ気無く滅び後には何も残っていなかった。それがこの国の滅亡だった。
ローマの終焉 完
2011・2・24
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