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いしはイベントが起こる気配すらないため、最終的に諦めたようだ。

確かに、何か起こりそうで何も起こらない場所やNPCというのは存在するものだ。

思い出したくもないが、SAO第二十階層には《狼ヶ丘》という場所があった。そこも、鬱蒼とした大森林の中、ぽっかりと開けた小高い丘という目立ちすぎる立地条件であるが、結局何も起こらなかったのだ。

まぁ場所とNPCの違いはかなり大きいのはある。地形やマップデータというのは、製作者のセンスが多分に発揮されるものだ。マップの隅にさも意味ありげに置かれた巨岩や大河は、その実考えなしに置かれた場合が多い。

この店主もその口なのか。はたまた――――

終わらなそうな思考のループを続けていたレンは、肩を叩かれることによって意識を引きずりもどした。

「レン?終わったみたいだよ?」

「ん」

目線を戻すと、どうやらいい取引になったようでリラとミナの双子達が諸手を挙げてハイタッチしていた。そうとう高い値段で売り払われたようである。

次は大会登録かな、いやその前にまたあの迷路みたいな街を歩くことになるのか、と今からげんなりとした気分を浮かべながら木箱から立ち上がり、背伸びをしていた少年に年輪の入った声がかかった。

「おい、そこの」

「……僕?」

「違う、その隣の娘っこじゃ」

違った。声がかかったのは隣で同じく背伸びをしていた従姉のほうだ。

きょとんと自分の顔を指さすユウキに、大きく首肯を返しながら小さな老人は髭に包まれた口を開く。

「オメェさん、その銃で本当に満足してんのかい」

「え?いや……確かに慣れてはいないけど、そのうち馴染むかなって」

「馬鹿モン、オメェに(それ)は絶対に馴染まねぇよ。慣れる慣れない以前の問題だ」

はぁ、と生返事を返すしかできない少女の言葉に、ドワーフの主人は音高く鼻を鳴らすと、二等身のその体を座っていた椅子から重々しく立ち上がらせた。そのまま背後にあった木箱――――に見えた棚に近寄り、その段を一つ一つ引き抜いていく。

やがて何の気なしに放られたのは、一見して金属の棒のように見えた。ゴツい黒光りする金属の円柱。

直径三センチ、長さは二十五センチほどだろうか。何かの機械ないしはそのパーツのように、表面には意味ありげなサイバーっぽい輝線が走っている。片側には登山用のカラビナに似た金具が下がり、もう片方の端は少し太くなっていて、何かを射出するためのものだろうか、中央には円錐状の大きな穴が開いている。

銃にしてはいささかのっぺりしすぎているような気がする。握りも、引き金(トリガー)らしきものも見当たらない。筒の側面上部に、小さなスイッチが一つ見えているだけだ。

それが都合二つ、ユウキの手に収まった。
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