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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
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こからどう見ても、サイバーパンクなGGOには欠片にも似つかわしくない、昔ながらの生粋のドワーフである。

摘み上げられた小人はレンの肩越しに少女を一瞥した後、ベッと唾を吐き出した。

「チッ、また来やがったのかオメェらはヨ。……まぁいい、持って来な」

とことん不機嫌そうな面相を崩すことなく、そのドワーフはリラの手をすり抜けて着地した後、その小柄な体も利用してスルスルと荷物の間を駆け抜けていく。

「「……………………」」

「あ、あれでも店主なんだよ」

弱気なミナの補足に耳朶を震わしながら目を離すとすぐに見えなくなる小人の背を、積み重なる箱のタワーをかき分けながら苦労して追いかけた。

するとすぐに視界に、一目でドワーフ専用と思える小さなカウンターが現れた。おそらくこうやって目にしない限り、普通にスルーしていたかもしれない。

よっこらせ、とこれまた小さな丸椅子に腰かけた老人は一度豊かすぎる顎髭をつるりと撫で、改めて流し目を寄越してきた。

「さっさと出さんかい。わしもヒマと違うんじゃ」

「はいはい、っと」

気軽な口調でトレードウインドウを開き、売却するアイテムを次々とその中に放り込んでいくリラを遠目に見ながら、レン達は手近にあった古ぼけた木箱に腰かけた。

「ねぇミナねーちゃん、あのおじーさんってさ……」

「うん、正真正銘NPCだよ。世界観ブチ壊しだけど」

「ふぅん……」

なんというかその……ずいぶん個性的なノンプレイヤーキャラクターである。

SAOでも数多くのNPCが街や村に配置されていたが、彼らは一律して『Aと問われたらBと返す』というただそれだけの存在だった。理解できる文言の幅はあまり広くもなく、込み入ったり複雑な比喩表現などを用いると首を傾げられるだけで答えてくれない。

そのため、彼らの大部分は明確なキャラ付けなど成されてなく、あくまでその他大勢(モブ)という域に収まっていた。

―――ここまで濃いNPCも珍しいな〜。

確かにSAOやALOでも、クエスト開始NPCなどはキャラが濃いことはままあった。しかし、眼前のドワーフ店主の頭上には、クエスト開始のキーキャラである証の【!】マークも、進行中である【?】も点灯していない。

つまりこの、終末的SF世界観であるGGOにあるまじきファンタジックな佇まいの小人は、本当にただの武具屋店主というカテゴリに入っているということである。

レンの表情から言いたいことを察したのか、傍らに座るミナは苦笑した。

「私達も最初は何かのクエストかなーとか思ったんだけど、全然そんなこともないんだよね。フラグっぽいことも言わないしさ」

どうやらレンが思ったことに、この少女達も至ったらしい。しかし一行にクエストな
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