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〜銃声と硝煙の輪舞〜
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な階段を甲高い音を伴って降りていく。カン、カン、と静かな金属音が、打ちっぱなしのコンクリートに反射する。

途中、一度折り返した先にあったドアを開けた一行を最初に出迎えたのは、鉄臭い潤滑油の香りだった。一辺が二十メートルはあろうかという広すぎる空間。しかし、その広大さが人ひとりがやっと通れそうな通路に変貌してしまっているほど、大小様々な段ボールや木箱が色あせたボロ布を被って積まれていた。

「こ、これ全部銃なの……?」

「弾薬とか手榴弾とかもたくさんあるけどね。だいたいはそう」

はえ〜、とぐるぐる辺りを見回しながら通路を歩くレンは、積載された木箱の隙間に何かを感じ取る。

思わず立ち止まると、当然その後ろを進んでいたユウキはその小さな背中にぶつかった。

「わぁっ、と。レン、急にどう…し……た…………の」

ユウキは己の声が急速にフェードアウトしていくのを自覚しながらも、眼前の光景から目を離せなかった。

そこにあったのは、連なる木箱と全く同じ型の立方体だ。ミナの言葉を信じるとすれば、その中に入っているのはいかつい鉄の塊のはず。

しかし、眼前の木箱の上部から生えていたのは――――

「か、顔……いや頭?」

「頭……だね」

真っ白な髭の生えた、経た年月の長さを感じさせるシワを幾重にも刻まれた老人の顔である。いやに尖った禿頭には、これまた尖った三角帽が乗っかっていた。

場違いにレンは、ALOにはないドワーフという妖精を想像した。小柄な体に似つかわしくない強大な力を持ち合わせる、伝説の小人を。

世界観すら揺らめかす、そんなものの人形の、しかも頭部がなんでこんなところに?

首を傾ける少年少女を数秒間静かに見つめ返していたドワーフ(の頭部)は、突如として《顔をしかめた》。

「おいこりゃッ!見とらんでとっとと助けんかいジャリども!!」

「「しゃ、喋ったッ!!?」」

生きてんのコレ、と極めて素直な驚愕をあらわにするレンとユウキの肩越しに、リラと呼ばれる少女が顔を覗かせる。

「あ〜おじじ、そこにいたのね。また売りに来たわ、買い取ってちょーだい」

のんきな声とともに伸ばされた手が木箱からにょっきり生えた小人の頭を、乗っかっている三角帽ごと鷲掴みして野菜か何かのように一息に引っこ抜いた。

頭だけだと思っていたのは、どうやら体の部分をすっぽり布で覆っていたためらしい。頭に合致する超小柄な二等身が頭部に続いて出現する。

そこで、レン達は小人(ドワーフ)という第一印象が間違っていなかったことが分かった。

ずんぐりむっくり、という言葉がこれほど似合う体型もないだろうという、小さいがそこそこ横に伸びている身体。その割に決して子供には見えない立派すぎる口髭。


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