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黄色い帽子
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第一章

                         黄色い帽子
 そのイデオロギーの象徴は黄色だった。何故黄色かというと。
「人民が働く肉の色だ」  
 だかららしい。それでだ。
 そのイデオロギーにおいてはだ。黄色、そして身体を使う働く者、即ち権力にないと考えられる者が正義と考えられたのである。
 その彼等の主張は。
「人民が正義だ」
「人民が絶対だ」
「貧しいことがいいのだ」
「金持ちは悪だ」
 こうした思想であった。そしてだ。
 この思想は忽ち福音の様にだ。欧州の知識人達に広まった。そうしてそうした人民が政治を治める国が本当に実現すると思われるようになった。
 そしてだ。それは。
 亜細亜の一国にも伝わりだ。
 彼等の間でもだ。まさに信仰となった。
「この思想でこの国は変わるんだ」
「人民を搾取する金持ちは悪だ」
「今の政府は間違っているんだ」
「人民の国にするんだ」
「あの国の様に」
 丁度革命でだ。ある大国がそのイデオロギーの国になったのだ。この国の知識人達にもだ。当然ながらこのことは伝わっていた。
 そしてだ。彼等はさらに叫んだ。
「あの国に続くんだ」
「不況も餓えもないらしいぞ」
「そして人民が主権者なんだ」
「人民が治め人民が暮らしている国なんだ」
「金持ちはいないんだ」
「理想の国だ」
 こう口々に言ってだ。しかも。
「あの思想が平和をもたらす」
「彼等はいつも平和を言っているじゃないか」
「平和勢力だ」
「あの思想で人類は平和になれるんだ」
「幸せになれるんだ」
 人民が治め一つになることでだ。平和が訪れるということになったのだ。
 それでだ。その思想はだ。
 この国の知識人達を支配した。だがだ。
 この国と大国は元々仲が悪くだ。大国で革命が起こってもそれは変わらなかった。むしろだ。大国はこのイデオロギーを使ってだ。
 この国に侵略しようと考えていた。この国の政府もそれを察してだ。
 手を打ってきた。警察を使ってイデオロギーを取り締まりだしたのだ。
「あの連中は工作員だ」
「革命とは名前ばかりだぞ」
「人民が支配している国じゃない」
「あの国の独裁者が支配している国だ」
「若しあの国の工作を許せば国が乗っ取られる」
 彼等はこのことがわかっていた。
「そして革命に反対するという理由で多くの人間が殺される」
「人民が主権者なら人民の敵とみなされればどうなる」
「あの国もあの首長も危険だ」
「我が国に入るのを許すな」
 こうしてだ。この思想は徹底的に取り締られることになった。しかしだ。
 危険視される側はだ。こう言うのだった。
「言論弾圧だ!」
「政府の言論統制だ!」
「反動だ!」
「権力者の横暴だ!」
 こう言って
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