第十四話 列車
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法使いが革命の手伝いをしていて、フランスの魔法使いは真っ二つに割れて殺し合っていたそうなんです。主に革命の中心となっていた指導者のサポートをしていた魔法使い達の末裔ですね」
「つまり、存在からして相容ることのできない、犬猿の仲ということか」
「「そうですね〜」」
百年近くも前に決着が着いたことを未だに引きずっているとは実にくだらないなと冷めた目で争っている連中を見るエメはコンパート内に引っ込むことにした。
「あなたたち! 何をやっているの!!」
エメ達がコンパートに戻ろうとしたら、喧嘩をしている者達を挟んで向かい側の車両から、最上級生らしき人達を含んだ数人がやってきた。
「アントワネット寮の監督生、7年のアリス・デラクールよ。事情を説明しなさい」
監督生はそれぞれの寮のリーダーであり、寮生の模範となり、下級生や他の寮生を指導する。必要ならば、監督生以外の生徒に罰則を与えることもできる権限を持っていて、優秀な生徒が選ばれる。
「「コイツが!!」」
喧嘩していた者達が互いに相手を指差し、睨み合う。
「成り上がり風情の連中が我らの祖先を侮辱したのだ」
「負け犬崩れの連中がいちゃもんをつけてきたんだ」
「穢れた血め!!」
「敗北者が!!」
「はいはい、そこまで〜」
どこまでいっても平行線な両者の主張を聞いて、どこかうんざりとした様子のアリスが手を叩いて、再び衝突しそうになっている者たちの注目を自分に戻す。
「とりあえず喧嘩に参加していた全員の成績を一点減点とします。次に17歳未満の学校外での魔法使用は禁止されているにも関わらず魔法を使用した人がいるようなので、魔法使用者は追加で二点減点とします」
不満そうな様子を見せる人たちを見回したアリスは、一枚の紙をひらひらと振ってみせる。
「見てくださいよ。魔法省の魔法不適正使用取締局から送られてきた抗議文章、および警告状です。貴方たちのおかげで余計な仕事が増えたのですが?」
皮肉げな笑みを浮かべて告げる。
「関係各所への状況説明や謝罪、いったい誰がするのでしょうね? 貴方たちが代わりにやってくれでもするのですか?」
さっきまで不満そうだった者たちは気まずそうに目をそらす。
文句のある奴がいなくなった所で、アリスは事態の収集を図る。
「はい、異議のある方もいないようですしとっとと解散してください。……それとも、まだ私の手を煩わせるおつもりですか?」
集まっていた者たちは、そそくさと解散して散らばっていく。互いに最後のひと睨みだけは忘れなかったが……。
「アリス先輩、すごい人だったね〜」
「そうね、格好良い人だったわ」
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