第十三話 期待はずれの勧誘
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ているのはご愛嬌。気にしないことに致しましょう。
そんな中、ヴォルデモートが意味深に呟いた。
「……ニワトコの杖が何故ここにある?」
「!! 昨年、このブチコロめが作った新しい杖で御座います! ええ、ええ、吟遊詩人ビードルの物語、三人兄弟の物語に出てくる最強の杖には及ばないまでも、今までの実験の全てをつぎ込んだ最高の杖を自称しております」
ヴォルデモートが杖を探していることを知っているブチコロは、命の危機を感じて、必死になって説明する。
作っているときは伝説の杖を作ろうと夢中になっていたが、紹介した後に重要なことを思い出すのは、職人らしいというべきだろう。ヴォルデモートの探し物を隠し持っていたりなんかしたら、その場で処刑されかねない。
探していた杖とは違うことを理解したヴォルデモートはあっさりと杖に対する興味を失った。
命の危機を免れたブチコロが、そっと安堵の溜め息を吐く。
やるべきことを全て終えたエメは、ヴォルデモートについてダイダゴン横丁に戻ってきた。棗椰子の杖を入れた袋を背に括り付けて、ニワトコの杖を上着の内ポケットに差し込んで歩く。
因みに、エメの手元にあったお金では杖の代金には足りなかったので、後払いで来年払う約束をしてきた。
趣味全開の超高級杖を2本なので、スネイプに預けてあるお金を足しても足りなかっただろう。
この後ヴォルデモートは配下の者から報告を受けることになっていた。やることの無いエメはヴォルデモートについていくことにした。すっかりスネイプのことを忘れて動きまわっているので、思い出して合流するのに更に数時間はかかることだろう。
目的地に向かうヴォルデモートについていきながら、エメは途中店で買ったお菓子を片手に店内を覗き込んだり、道を歩く人を眺めていた。
ふと、箒を売っている店に掲げてあるクィディッチというものがエメの視界に映った。ショーウィンドウには、数本の箒に人形が載って小さいボールを追いかけているミニチュアがある。魔法界で大人気のスポーツ、クディッチのチームロゴや名前の入った色んな旗があり、色鮮やかだ。
「ヴォルデモート卿。あの箒屋にあるミニチュアで動いているのって、魔法界でのスポーツか何かですか?」
「……そうだ。クィディッチという魔法界で最も人気のあるスポーツだ」
ああ、そういえば家にも専用の施設と設備があったな。と、いつも朝の運動に使っている場所を思い出したエメが納得したように頷いた。
ひとのいない場所でヴォルデモートは襲撃の成功を知らせる配下の報告を待っていた。エメは怠
だ
れたようにその足下にしゃがみこんでいる。
既に予定していた時間より30分が過ぎている。
「……どうやら、罰を与えないと
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