第十三話 期待はずれの勧誘
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っこ抜いて周り、エメのところに持ってくる。
「ああ、先ずは……どっちが杖腕ですかな?」
「杖腕? ……ああ、利き腕のことか。それなら両利きですね。でも普段の日常生活では基本的に右利きの生活をしています」
「ふむふむ、じゃあ取り敢えずこれから」
ブチコロは持ってきた杖の山から一本手渡す。
「椿にヘルハウンドの毛、18センチ。炎の魔法に最適」
その杖を振るとなかなかの熱気が杖から放たれ、室内をまるで真夏のように暑くする。良いのか悪いのかも言わず、次の杖に入れ替えられる。
「イチイの木にドラゴンの心臓の琴線、25センチ、わがままで力強い」
杖を受け取り軽く振る。すると杖先から風が吹き、店内のものをいくつか巻き上げる。
また次の杖に入れ替える。
「樫に不死鳥の羽根、27センチ、少々頑固」
杖を受け取り再び軽く振る。今度は何も起きない……と思ったら、天上に吊されていた生首が1つ落ちてきた。
「柊にドラゴンの心臓の琴線、34センチ、柔らかく柔軟」
いささかウンザリしながら次の杖を握ると、驚いた事にその杖がガタガタと震え出して真っ二つに折れてしまった。
持ってくる杖を握っては振るい、握っては振るいを幾度となく繰り返す羽目になった。しかしエメにぴったりの杖が中々見付から無いのか、杖を持ち替える度に店の中がどんどん荒れていく。
「流石はアーロン家、やはり普通の杖じゃ駄目なようですね。取り敢えずこの中で一番相性が良かったのはこの杖ですね」
「杖なら何でもいいわけじゃないのか?」
エメの疑問にヴォルデモートが答える。
「杖には意志がある、故に杖の方が持ち主の魔法使いを選ぶのだ。どんな杖でもある程度魔法を使うことが出来るが、最高の力を発揮したいのであれば自分と相性の良い強い杖に好かれる必要がある。つまり、強い魔法使いほど強い杖を持っているということだな」
「ほいほい、もうちょっとお付き合い願いますよ?」
ヴォルデモートの自慢話が始まる前に会話を切ってブチコロが声を掛けてきた。
「ハルニレにヴァンパイアの牙、16センチ、使う度に体から力が抜けます」
軽く降っただけで、凄い虚脱感と倦怠感に襲われる。軽く頭を振り、ブチコロに杖を突き返す。
「樟にゴーストの涙、22センチ、連続で使うと発狂します」
「怖っ!!」
使うとデメリットのある杖をほいほいと渡される。嫌そうに振り続けるエメを面白そうに見ているヴォルデモート。たまに自身にも攻撃が飛んできているが、軽く打ち払って防御している。
どの杖もそれなりに力を発揮してスムーズに使いこなすことが出来たのだが、その中でも他の杖よりも明らかに威力が高まるものが何本かあった。
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