第六話 図書館の魔法書
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について説明を始めた。
「この魔法書の名は“世界図絵(オルビス・センスアリウム・ピクトゥス)”。本来の目的では世界の様々な魔法を覚える為に作られた本ですが、情報を検索する能力の方が役に立ち主にそっちの方が良く使われます」
エメが感心したように言う。
「ロタロタは物知りだよな」
「歴代当主様が全ての部屋に立ち入る許可をください、危険なものに対する知識や家にある物を自由に使う権利をくださったおかげで御座います」
ロタロタは誇らし気にしている。
「主要言語はラテン語で書かれており、英語と仏語とドイツ語に変換することが可能です。
現代でいうネットワーク風の百科事典のように使用するもので、基本の知識さえ持っていれば関係項目のリンクを辿ってどんな高度な知識だって修得できるが、その為に基礎的な知識が必要で使いこなすには本の読み方そのものを心得ている必要がある。
本の内容自体は世界中の“今”から情報を集め自動更新されるが、読み込みは本に宿る人工知能に依存する為に限界が存在する。
更新された情報は上書き保存されるので、過去の情報は消失する。
言語・情報の解読・解析は人工知能が行うのだが、性格が非常にウザく、機嫌を損ねると解読してくれなくなる。つまり、本との相性も重要になるのでより厄介です。
……以上が“世界図絵
オルビス・センスアリウム・ピクトゥス)
”について私が知っている情報で御座います。この最後の機能が本当に要らないと思いました」
話している言葉の節々から感じられるように、ロタロタはこの魔法書に使われている人工知能の疑似人格を非常に嫌悪している。
心の底から嫌っているという事が話を聞いている他の者達にも嫌になる程に伝わって来るが、その能力の有用性に廃棄する訳にもいかず、仕方なく禁書の棚の奥に封じ込めておくことで我慢していたらしい。
今もふみの頭上をふよふよ漂っている魔法書を嫌悪感丸出しで見たロタロタはベッドで寝ているふみ以外を食堂へと連れて行くことにした。
「さぁ皆さん、朝食が冷めてしまいますのでそろそろ食堂に行きましょう」
「そういえば朝ご飯がまだだったな」
「色々あって忘れてましたね〜」
「ごっはん〜ごっはん〜」
朝から騒々しい始まりとなった2日目であった。
カレンダーを見ながら祝日やスケジュールの確認をしていたロッカーソンは朝食が終わると、エメに忘れてはならない大事な予定を告げる。
「今年のクラス分けは4月8日に行われるので、その日は私と一緒にボーバトン魔法アカデミーに来ていただきますね」
「クラス分け?入学式じゃなくて?」
「?……フランスに入学式はありませんよ?」
驚愕の事実であった。
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