第六話 図書館の魔法書
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み重なっていた本が崩れたというより、むしろ風か何かに巻き上げられて落ちてきたような散乱のしかたで……どうしました?」
「いや、あの本……」
エメの指差した先には宙に浮かんでひとりでにページがめくられる不思議な本があった。
銀の装飾が為されたライトグレーの本はうっすらと輝いている。
「ああ、これが原因ですか。……これまた厄介な」
嫌そうに顔をしかめるロタロタは、この本に見覚えがあった。
「何なんだ?この本は」
「魔法書です。……ああ、触らないでください。一応禁書の一つですので」
困ったようにロタロタは言う。
「禁書の棚があるエリアには近づかないでくださいとお願いしたのですが……」
「そんなのふみが聞くと思うか?」
「ですね。注意したら追い出されましたし……」
そんな2人のところにほのかとロッカーソンが少し遅れてやって来る。
「ふみは無事?」
「大丈夫ですよ。ちょっとたちの悪い本と契約をしてしまっただけのようですから」
不安がれば良いのか安心すれば良いのか分からないロタロタの発言に対して、困惑した顔をエメに向けるほのか。しかしエメも詳しいことが分かっている訳では無いのでそんな顔を向けられても困ってしまう。
ロッカーソンは興味深げに魔法書を観察する。
「珍しいタイプの魔法書ですね?初めて見ましたよこんな不思議な魔法書」
「世界に1つしかない特別な魔法書だと聞いてますよ?70年程前にアーロン家の方が、魔法書の開発に力を注ぐ一族と協力して、作り出した万能の魔法書だそうです」
そこまで言ってロタロタはまた顔をしかめる。
「最後に余計な機能さえつけなければ便利だったんですけどね。今までの使用者全員がこれさえなければと残念がっていましたよ」
「何が付いているんだ?」
興味を持ったエメが尋ねてみる。
「この本、人工知能《インテリジェント》本(ブック)なんですよ。しかも性格が激ウザの」
どうやらロタロタは極度にこの本を嫌っているようだ。
まだまだ気になることはいっぱいあるが、いつまでもふみを床に寝かしておく訳にもいかないと思ったロッカーソンが魔法を使う。
「『ウィンガーディアム・レビオーサ』、浮遊せよ」
「ああ、あぁ、私がやります。お世話をするのはわたくしめのお仕事で御座います」
ふみを移動させる為にロッカーソンが魔法をかけると、それに気付いたロタロタが仕事を取られてはならんと慌てて交代する。
「皆さん、話の続きはふみさんを部屋に連れた後で」
皆が移動すると魔法書も後から着いてくる。
ふみの部屋についたロタロタはベッドにふみを寝かせると、その場で魔法書
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