第一章 原作開始前
第一話 入学案内
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だろう。
エメの世界は極々少数の人間関係とその他大勢という括りで既に完結してしまっていた。
子供は大人よりもそういうものに敏感だった。エメの心に張られた壁を超えないように、子供達は大人が気付かぬ内に対等な関係から、上下の関係へと認識を移して行き、最終的に大人に頼る前にまずエメに頼りに行くようになってしまった。
大人たちが気付いた頃には既に手遅れだった。エメはエメ本人すら気付かぬ内に、周りの全てを支配してしまっていた。
そんなエメの心の壁を超える事が出来たのが、叔父の送って来た子であった。
他の者達は近づく事すら躊躇い、決して踏み込むことの出来ない領域に入り込んだ2人だからこそエメは本当の家族に成れたのだ。
だからこそ、エメには理解出来ない。その他大勢の地へ赴くために、家族と別れて自分の支配する土地から去ることが……。
「ただいまー!!お兄ちゃん、今日の夕食なに〜?」
「……ただいまです。……ほのかちゃん、今日の料理当番……私、何だけど……」
「ぬぁ〜んで〜すとぉ〜?それでは、夕飯はまだだと言うのですか、ふみ軍曹!!」
「……軍曹?……今から作るから、ちょっと待ってて……」
どうやら随分長々と思考にはまり込んでいたようだ。とエメは思い、立ち上がって2人の元へと向かう。
「お帰り2人共。ふみ、夕飯作り手伝おうか?」
「……むふ〜。……大丈夫、問題ない」
「じゃあ、私は風呂に入って来るよ。ほのか一等兵、行きます!!」
ほのかはバッと2人に敬礼すると、風呂場に去っていった。去っていくほのかを見送りながら、エメとふみが言葉を交わす。
「……凄い失礼。……せめて伍長が、良かった……」
「あいつ今、何にはまってるんだ?」
「……アフロ軍曹」
「あぁ、緑のカエルのやつか……」
ふみは料理を作り始め、エメは食器の用意をする。
ほのかが風呂から出て、3人で一緒に食事をする。
これがいつも変わらない神崎家の日常だ。
3人で夕食を食べていたら屋敷のチャイムが鳴らされた。こんなに遅い時間にやって来るなんていったい誰なんだろう?と3人で顔を見合わせる。
もう一度チャイムが鳴らされる。
「あっ、は〜い。今行きますよ〜」
ほのかが玄関に向かってパタパタと駆けていく。
「はい、はい、どちら様ですか?えぇ、そうですね。お兄ちゃ〜ん」
何なんだろう?と思っていたら、ほのかが客人を連れて戻って来た。
ほのかが屋敷に招いた客人を見て、エメは疑問を抱いた。
「ほのか、何でその人を屋敷内に招いたんだ?」
屋敷に招かれたのは、エメが数時間前に警察に引き渡した人物だったからだ。
しかし、質問されたほのかの方は何故そ
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