第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
五十三話 緋色の宵 後編
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ったのだ。
だが虚空の今の立場や虚空自身が輝夜の捜索を望んだ為自身も同行を申し出たのだ。
はっきり言えば永琳にとって輝夜がどうなろうが、大和がどうなろうが、京の都がどうなろうが知った事ではない。
輝夜に関すれば虚空との再会を果たした時点で利用価値は消滅している。大和に関すれば月の一研究員でしかない永琳には関係が無い。京の都に関すれば全くの無関係である。
さすがに目の前で殺されそうになっている人物を見殺しにする様な人でなしではないので道すがら人命救助はしていたが。
輝夜の一件に続き京の都での面倒事、そして何より虚空が自分に何かを隠していると言う事が彼女を不快にさせていた。地上に居た頃、虚空が自分に一度たりとも隠し事などした事が無かったからだ。
故に彼女はその不快な気分を目の前に現れた妖怪達にぶつけている。
端的に言えば永琳が虚空と別行動を取ったのは――――唯何かに八つ当たりをする為であり、その行為を虚空に見られない様にする為なのだ。
身動きの取れない妖怪二匹にゆっくりと永琳が近づいたその時、突如上空から何かが空気を裂くような騒音が響き渡り、永琳が見上げた黒天に無数の赤い輝きが地上目掛けて翔けていた。
「…………本当に面倒事ばかりね、最高に気分が悪いわ」
地上に降り注いだ流星の破壊音の中に、彼女のそんな言葉は飲み込まれていった。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
劫火の海――――その光景を言葉に表すのならまさにそれだ。
元々あった整然とした街並みは今や見る影も無く、只々建物であったモノの残骸を紅蓮の炎が死体に群がる獣の如く嘗め尽くしている。
そんな火炎と瓦礫の――――死の都と化した一角に異様なモノが存在していた。
それは銀色の塊、何重の鋼で組まれた天蓋だった。炎の光を反射しているその鋼は所々拉げ溶解しているが何かを護るように確りと大地に根差している。
そして内側から弾け飛ぶ様に鋼が四散すると、その中から右手に傲慢を持つ虚空とその傍らには地面に膝をついている妹紅の姿が現れる。
傲慢が砕け散ると同時に虚空は胸を押さえ激しく咳き込むと足元に多量の血を吐き出す。
「ゴホッ!ゴホッ!…………上半身を吹き飛ばされなかっただけでも儲けものとはいえ――――流石に痛いな」
血に濡れた口元を袖で拭いながら虚空はそう呟き、懐から百鬼丸の一撃の余波で粉々になった探知機を取り出しため息交じりに、
「……失態だよね、攫われた挙句に捜索手段まで失うなんて」
永琳ならば修理出来るだろうが直ぐには無理であろう。
輝夜の身を案じれば一刻の猶予さえ
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