第16話
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たらしい。
「私としてはありがたい」
自分の武は頂に届いてなど居なかった。まさか彼女のような遥かな高みと出会えるとは……
………
……
…
「調子はどうだ?」
「悪くありませぬなぁ、恋達と鍛練するたびに武が冴える実感が沸きます故」
「まだ伸び代があるのか……」
「恋と出会って武の極地はまだ遠いと思い知らされましたからな、ところで……」
様子を見に来た袁紹を軽く問い質すように語りかける。
「何故彼女ほどの者が未だ無名なのです? あれほどの腕前で諸侯に名が広まっていないとは……」
「腕が立ちすぎるのも考えものでな」
各地で賊の動きが活発になっているが、ここ南皮においてその被害は少ない。精々他の地域から賊が流れてくるだけだ。
その程度の相手には恋はおろか斗詩達でも過剰戦力である。故に賊の相手は訓練を兼ねて新兵達が鎮圧していた。
なら武芸大会はどうか――、それこそ過剰戦力である。彼女の武力は文字通り次元が違う。
圧倒的過ぎる力で若い芽を潰す可能性もある。大会としても盛り上がりに欠け、袁家としては賭けの利益的に赤字になるなど、いろいろと問題があるため最初の大会以降彼女の出場は無かった。
「だがもうすぐ天下に響き渡るだろう。否が応にも……な」
「……」
話しの途中にも関わらず。遠くを見るような目で呟く袁紹、趙雲はそんな彼の横顔を見ながら思いを巡らせる。
ここ数週間で袁紹の人となりを見てきたが、彼を一言で表すと『寛大で豪快な当主』だ。
一見、単純明快な人柄のように思えるが、稀に現在のように遠い何かを見つめ考えを巡らせている。
その内容は桂花達にも語られることは無く、彼が何を見据えているのか誰にもわからない。桂花曰く、この先の時代を憂うているのではないか、と彼女は予想していたが
「貴方は一体、何を見据えているのですか?」
「さて……な、袁家に仕官し我の側に居れば、その一端がわかるかもしれぬぞ?」
カマを掛けて見るも今のようにはぐらかされてしまう。
趙雲の中に、袁紹の隣に立ち視点を共有してみたいという欲求が出来ていた。
………
……
…
それからさらに数日後、三人と袁紹達は再び謁見の間で顔を合わせていた。
「それで、お主達の答えは決まったのか?」
袁紹のその言葉に趙雲が歩み出る。
「では私から、此処に来た時も申しましたが袁家に……いや、袁紹様に仕えたいと思います」
からかい甲斐のある軍師、研鑽し合える武官達、そして嗜好品の件を抜きにしても敬愛できる主。
少しからかうのが難しそうだが、それはこれから弱点を見つければ良い。
「我が陣営を見てきて出た答えのようだな、ならば歓迎しよう。期待してい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ