黒の訪れ、黄の訪れ
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いた瓶の中のコーヒー牛乳を一気に飲み干す。
……そのサイズが、ミリリットルではなくリットルに見えるのは、恐らく見間違いではない。机に置く際、ズドン! という音すらしているのだから。
「……ふっ切りきれんが登校する!!」
『(叫ばんといけん程に悩んでたのカイ、相棒)』
別にそこまで気に病む内容では無かろうにと、ラースも違う感情を込めた溜息を、誰とも知れぬ内に瀧馬の体内……とは実際ちょっと違うのだが、兎も角瀧馬の体の中で吐いた。
登校時の風景は何も変わらず、変わった事があるとすれば、生徒たちの会話の内容がテイルレッドを見る事が出来なくて残念だの、小さいのによく食べる子がいたとは驚いただの、紫ツインテールな大食い幼女hshs―――
…………最後は空耳と言う事にしておこう。
瀧馬もそう決めたか、石を拾い上げ虚空へと投げて、持ち出したチョコレートの菓子パンをかじった。
打撃音と悲鳴が聞こえたが、誰かが躓きコケてしまったのだろう。それ以外には考えられなかった。
ふと目を向けてみても、何も変わり映えしない通学路、(見た目だけは)何も変わり映えのしな生徒達、すなわち何も変わり映えのしない風景が広がっている。
その事をなんだか嬉しく思うのと同時、しかし真に日常を脅かしている存在は、変態ども『アルティメギル』ではなく、『単純感情種』のエレメリアンである事を、再び思い返さざるを得ない。
この事を考える原因となったのは、実は今朝がたのニュース。大食い少女に押されがちであったが、まじめなニュースも一つ報道されていた。
それは……『家畜やペットの突然の行方不明』。
この所、関東方面の農家や住宅街で相次いで発生し、犯人の詳細も動物たちの居場所も、何もつかめにままに、日時のみが確実に過ぎ去っているという。
原因不明の騒動に、瀧馬もどことなく嫌な予感を覚えているのだ。
「新しい奴が来たのか?」
『さァナ、そこんとこは分からねェヨ……タダ』
「ただ、なんだ?」
『どーにも “何か忘れている” 気がしてならねぇんだよナァ……なんかコウ、大事なことを見落としている気ガ……ヒシヒシっトヨ。』
「……お前のは割としゃれにならんからな、早く思い出してくれ」
『アア、俺もそのつもりダゼ、相棒』
ラースが嫌な予感を覚えた事は少ないが、すべて的中してしまっており、瀧馬が不安になり急かすのも頷ける。
……と、顔ごと斜め上に向けていた視線を、通学路の真ん中へと戻してみると、何とも妙に上機嫌な会長の姿が目に入った。
スキップまでしかねない、と言うより既にしてしまっているためこの場合は踊りかねないとでもいうべきか。それほどまでにうき
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