暁 〜小説投稿サイト〜
寄生捕喰者とツインテール
黒の訪れ、黄の訪れ
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ま食ってもまだまだ食い足りんとはナァ!』

「……なんでグラトニーの時は腹八分目すらないんだ……?」


 まあ、もうお気付きかとは思うが、その大食い少女とは瀧間の変身、否変態するグラトニー、その人間体の姿の事だ。
 どうやらカレーの後も、二店舗ほど寄り道したらしい。

 瀧馬の時は食欲が倍増したとはいえ、流石に一店舗目のカレー専門店『我が一番屋』でふるまわれた、カツまで乗ったカレーのチャレンジメニューを平らげれば、ちゃんと腹は満たされる。
……のだが、グラトニーの時は腹に入り段々膨れてくる感覚はあるものの、減っていく感覚の方が早く訪れてくるのだ。
しかも思考が幼く好奇心の固まりである事も相俟って、あれも食べたいこれも食べたいと終りが全く、チラとも見えやしない。

 カレー店二つが大手チェーンだという事もあり、本格的に見出しが載ったのはそこだけだが、ケーキバイキングの店でもキッチリことを起こしているので、ローカルチャンネルによってこういったニュースも取り上げられている、という事なのだ。

 幸いなのは、フードを被って顔を隠したために、人相が分からないことだろうか。ちなみに服は属性力(エレメーラ)によって作り上げたモノなので、フードを付け加えたりデカールを変えたりと、大本からある程度なら変えられる。


「……明日は、ケーキバイキングの店も大きく報じられるんだろうな……クソ……」
『いーじゃねェノ! 名声はいくらあっても困る事はなイゼ!』
「これのどこが名声なのか、小一時間悩んでも思い浮かびそうにないがな俺は」


 止めればいいという簡単な問題ではなく、グラトニーに変化しなければ自身の危機が、冗談抜きでやってきてしまう。
とはいえ、黒歴史を積み重ねるだけならいっそのこともう “コールズセンス” を叫びたくない、という気持ちも強く湧き上がってくるのわ、羞恥からして仕方のない事かも知れない。


『段々能力を扱えて、定着してきている副作用なのかモナ。一番最初は細胞が定着し切れてなかっタシ、相棒の人格がそのままガッツリ残ってタガ、今ではマジで別人格だシヨ』
「意味はないと思うが、一応言わせてもらうぞ、ラース」
『なんジャイ』

「……勘弁してくれ……!」
『ウハハ! オレにゃあ無理! 不可能!! クハハ!!』


 心底楽しそうに可笑しそうに笑うラースに、思い切り項垂れ頭を抱える瀧馬の姿は、もしお互いの姿が第三者から確認できるならば、それこそひどい位に対照的であった。

 ……落ち込んでいる場合ではないと、登校時間十分前を知らせるアラートが鳴り、瀧馬に嫌でも登校を促してくる。

 幸せを幾つも逃がしそうな大きい大きい溜息を吐いて、瀧馬は制服に袖を通すと、緩慢な所作で立ち上がり、半分残って
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