黒の訪れ、黄の訪れ
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しながら、ダークグラスパーはある特権を与えられている事と、本格的に侵略が滞ってくる事、そして何かしらのトラブルや離反者の報が無ければまず動かないので、ならば何故ここに来るのかと、クラーケギルディは疑問に思う。
スパロウギルディも表情からは読み取りにくいが、やはり同様の疑問を抱いているらしい。
だが、その疑問を今表には出さず、代わりに別の事をスパロウギルディへと質問した。
「して、何時来訪されるのだ?」
「それが、遅くとも明日に……と」
「ほう……これはずいぶんとまた、えらく急な訪れだな……」
クラーケギルディの予想では、少なくとも一週間は間が空くと思っていたのだが、なんと遅くとも明日、つまり早ければ数時間後にでも、ダークグラスパーはこの世界へと赴くつもりだという。
そこまで急いて用を押して出向くのならば、それこそかなり切羽詰まった用事しか考えられない。
グラトニーの件についても、まだ謎が多く対処策があるかもしれない以上、そこまで焦ってより質の上な戦力を投入するレベルではない。
……と、此処まで有り得ないと言うに足る意見を思い浮かべたクラーケギルディだが、実は目をそむけてきたとある疑問点が、彼の脳裏に渦を巻いている。
(我が部下が、離反していないにもかかわらず忽然と姿を消した―――その真相を探りに来たのだろうか……?)
クラーケギルディにはそれしか思いつかない。それ以外で、ダークグラスパーが来訪するに足る理由は、思い当たらないのだ。
彼自身としても、ぜひとも部下の、そして他ならぬライバルの仇打ちも込みで、その犯人たる強者を仕留めたいモノなのだが、だからと言って理由として足るだけで、ここに来るまでが早すぎるという不可解な点は、未だ存在している。
「ともかくダークグラスパー様が、此処へと来訪なされば分かる事でしょう」
「……今、数少ない情報と憶測でモノを並べても仕方ない、か」
その言葉を紡いだ時、クラーケギルディはヒシヒシと、俗に言う『嫌な予感』を覚えていた。
ダークグラスパーという存在に……ではない。
用事の察せぬ急な趣に……でも、無い。
この世界に置いてある支部の中に漂う…………不吉を孕み、暗く淀んだ、重苦しい空気に。
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瀧馬の家でのリビングで、薄型テレビの液晶画面が光り、薄暗い部屋を僅かに照らしている。
テレビ画面にて映り、今流れているニュースは、珍しくもツインテイルズ―――もといテイルレッドの事ではなかった。
かといってグラトニーの事でもなければ、エレメリアンの事でも無く……有る一人の少女についてだった。
ツインテールかアップか判断し
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