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寄生捕喰者とツインテール
黒の訪れ、黄の訪れ
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壁やら天井のポスター、詰れたフィギュアにゲーム、絨毯の絵柄……ソレすべてに貧乳少女が描かれた部屋で、クラーケギルディは静かに座している。

 佇まいそのものはまるで中世の騎士の如く、放たれる威圧感は甲冑姿の重騎士の如く……だが、ちょっと目線をずらせば有らぬものが目に入り、その雰囲気を数秒のうちに霧散させてしまう。

 本人は荘厳なる由緒正しき宮殿の中に鎮座しているつもりでも、やっぱりはた目からは残念さここに極まれり……としか判断できぬ、微妙な空間がそこに広がっていた。

 この貧乳だらけな領域で彼は何を考えているのか。

 眉間―――と思わしき場所にしわを寄せ、口……なのかどうか分からない場所を動かして、静かに言葉を発する。


「我が仇敵であり、我が好敵手であった、リヴァイアギルディよ……お主へと牙をかけたのは、あのグラトニーの手によってでは、なかったのか……?」


 それは恐らく先日の事、ツインテイルズとグラトニーの―――否、グラトニーの事だ。

組織的にも、彼個人的にも、感情を燃やし倒すべきと見定めていた相手が、実は全く関係の無い相手だったという……ぶつけ様のない怒りを抱く結果を生んだあの日の戦闘。
理想の『姫』を見つけた事もあり、クラーケギルディにとっては全く収穫が無かった訳でもないが、それでも目的を完全に果たしたとは言い難い。

 己の剣を鞘から徐に外し、取り出した砥石らしき長方形の極色彩で、丁寧に刃を滑らせて行く様は、使い手を一身に考え作業に没頭する鍛冶屋の様。

これで部屋が薄暗い石造りであれば、もういっその事ファンシーでさえなければどれだけよかったか……。


 一心不乱に黙々と作業を続ける彼の背に、扉が開く音がかすかに聞こえ、しかし予想だにしない者の声がク、ラーケギルディの耳―――は存在しないが、確かに届いた。


「……なんと、手入れをしてお出ででしたか、クラーケギルディ様」
「珍しいではないか、スパロウギルディ。私の部屋に来るなど」


 かわいげな外見に似合わぬ老将・スパロウギルディは、何時も基地内を忙しく走り回っており、暇が出来ようとも作戦考案中がほとんどで、己の娯楽や他社の部屋に顔を出すなど、全く無かったのだ。

多少驚いても、それは仕方ない。


「特に用と言う用はないが、手早くいこう。何用なのだ?」
「……ダークグラスパー様が、我が支部においでになると……先に、通達がありましたゆえ」
「なに? ダークグラスパー様が?」


 ダークグラスパー―――闇の支配者。

 その名はクラーケギルディも勿論知っており、首領直属の幹部であり、アルティメギルの処刑人でもあるのだから、寧ろアルティメギル内では知らない方がおかしいというものだ。

 しか
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