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変わった毒殺
第四章

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「席にそうね、アル=カポネでもいる様な」
「カポネは物騒ですね」
「ではエリオット=ネスにしておくわ」
 カポネと戦った彼にというのだ。
「そして音楽はジャズよ」
「ルイ=アームストロングとか」
「そうした感じよ」
「それがこのお店ですか」
「そうよ、ではね」
「それではですね」
「その雰囲気を楽しみながらね」
 言いながらだ、美咲は岳のその目をじっと見ていた。まるでその奥まで覗き込む様に。
「飲みましょう」
「わかりました」
「そうしてね」
「色々とですね」
「お話しましょう」
「お願いします」
 こうしてだった、二人でだ。
 まずは仕事のことを話した、そして美咲は仕事の話から自然に世間話に入ってだ、そこからさらにだった。
 岳にだ、こう問うた。
「ねえ、君ってね」
「はい、何でしょうか」
「今は交際相手とかは」
 酒の勢いのふりをしてさりげなくを装って問うた。
「どうなのかしら」
「いえ、それがなんですよ」
 岳も酒が入っていてだ、普通に笑って返した。
「いないんですよ」
「あら、そうなの」
「そうなんですよ」
 こう答えたのだった。
「これが」
「人気ありそうだけれど」
「それが本当に」
「じゃあ今は」
「はい、一人です」
 そうだというのだ。
「フリーです」
「私と一緒ね」
「あっ、係長も」
「そうよ、今はね」 
 自分もとだ、言葉の中にこの言葉を含ませてみせた。
「そうなのよ」
「そうですか」
「奇遇ね」
 くすりと笑ってみせての言葉だ。
「お互い一人なんて」
「そうですね」
「じゃあ一人者同士」
 この言葉はあえて言った。
「ここはね」
「今日はですか」
「飲みましょう、とことんね」
「無礼講ですか」
「そう、徹底的にね」
「俺結構酒飲めますけれど」
「あら、私もよ」
 くすりと笑ってだ、美咲は岳の今の言葉に返した。
「これでもいけるくちよ」
「そうだったんですか」
「じゃあ今日はね」
「飲まれるんですね」
「ええ、たっぷりとね」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人で徹底的に飲んだ、岳はワイン三本のところで流石にふらふらになった。そして美咲はどうかというと。
 もう酔い潰れる寸前になった、そして。
 岳にだ、こう言ったのだった。
「ちょっとね」
「もう、ですか」
「飲めないわ」
 これが美咲の今の言葉だ。
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