6部分:第六章
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しげな顔で。
「私は」
「わかっているな。捕らえられた倭寇はだ」
「処刑か」
「それはもう決まっている。大人しくするのだな」
「・・・・・・くっ」
こうしてだ。このポルトガルの商人は日本人の倭寇達と共にだ。首を刎ねられたのである。残った倭寇達は明での本拠地を失いだ。日本に逃げ帰った。
そうしてだ。戚継光はだ。部下達のその話を聞くのだった。
「今回はです」
「中々厄介ですね」
「全くでした」
「本当に」
「そうだな。私も今度は困った」
戚継光自身もそうだというのだ。彼等は港で話している。彼等が基地としているその港においてだ。
「内通者はいなかった。では何故倭寇が我々のことを知っているのか」
「しかしあの商人がいた」
「彼が倭寇だった」
「だからですね」
「我々のことが漏れていた」
「そうだったのですか」
「そうだ。倭寇は日本人の倭寇だけではない」
彼等だけではないということはだ。もうわかっているのだった。
「我が朝の奸賊共もいるしな」
「そしてポルトガル人にもですね」
「いるというのですね」
「どの国にもよい者もいれば悪い者もいる」
戚継光はこの現実も話した。
「そういうことだ」
「ですね。提督、それでなのですが」
「今度の戦ですが」
部下達はあらためてだ。彼に話すのだった。
「また別の倭寇が来ております」
「そちらにも」
「わかっている。また戦う」
戚継光は前を見据えながら彼等に答える。
「我等の戦は倭寇が消えるまで続くからな」
「はい、それではまた」
「明の為に戦いましょう」
部下達も応えてだ。そうしてであった。
彼等はまた戦いに向かうのだった。明の名将戚継光は倭寇討伐でその名を残している。その彼の戦の中にはだ。こうした厄介なものもあったのである。だが彼はそれに勝ちだ。倭寇から国と民を守っていた。そのことをここに書き残しておくことにする。
倭寇 完
2011・4・22
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