第三章
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それをだ、正純にというのだ。
「命じられて下さい」
「そうすればじゃな」
「上野介殿は何もかもを失います」
「さすればな」
秀忠は側近の言葉に頷いた、そして正純が最上家改易の際の始末の為に最上家の領地に行って留守の時にだ、動き。
彼を形で人をやり吊り天井の話を出した、だがこれはだった。
正純は平然としてだ、使者達に言った。
「それは誤解であります」
「誤解だと言われるか」
「ご自身の居城のことは」
「はい」
こう答えたのだった、まさに微動だにせず。
「宇都宮城の隅から隅までお調べ下さい」
「そうすればですか」
「吊り天井のことは」
「おわかり頂けます」
正純は使者達を見下ろす目で答えていく。
「是非」
「左様ですか」
「ではこのことは」
「誤解であります」
正純はこう答えて難を避けたと思った、誰かの仕掛けだと思ったがこれでよしと思った。しかしここでだった。
彼が油断したその時にだ、使者達は問うたのだった。
「ではその城の改修のことは」
「鉄砲を幕府の許しなく買われていたとか」
「そう聞いていますが」
「このことはまことでありますか」
「いや、それは」
このことを問われるとだった、吊り天井のことは何なくかわした正純もだ。
不意に狼狽した、そして言うのだった。
「それがしも後で」
「幕府にですか」
「お話されるおつもりでしたか」
「そうしようと思っておりますので」
「しかし今は、ですな」
「今のところは」
「それはその」
今問われたことは明らかに武家諸法度に反する、正純自身がこの諸法度を作ることに加わっていたので誰よりもよくわかった。
そしてだ、それに反したらどうなることもだ、正純はわかっていた。それだけに狼狽せずにはいられなかった。
その彼にだ、使者達はさらに言った。
「是非お答えを」
「上様にも」
「城のことと鉄砲のことを」
「是非」
正純は言葉を出せなかった、そして江戸城に戻ってだった。
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