第四章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初
「そや、あいつもや」
山田にしてもというのだ。
「あそこで王に打たれんとな」
「わからなかったですか」
「速球だけでは限界があるということが」
「そや、痛いホームランやったけどな」
何しろその試合だけでなくシリーズを決めてしまった一打だ。西本にしても決して忘れることのない一打だった。
だが西本は己のことは置いておいてだ、こう言ったのである。
「あいつはそれで大きくなったわ」
「打たれてこそ」
「それがあってこそですか」
「そや、あの一打があいつを育てたんや」
こう言ってだ、その投げる山田を見る。山田のシンカーが唸りそしてだった。相手のバッターを見事に打ち取っていた。
山田久志はシンカーを武器にして勝ち進みアンダースローのピッチャーで最高の勝利数を残し阪急黄金時代のエースとなった、その彼を作ったのはシリーズにおいての王貞治のホームランだった。打たれた山田はそのことを忘れずにシンカーを覚えた、それが彼を大エースにしたということは実に面白いことであると言えよう。
打たれた後で 完
2014・12・16
[8]前話 [9]前 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ