4部分:第四章
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第四章
「それはどうだ」
「刀ですか」
「そして鉄砲ですか」
「そうだ、それは手に入っているか」
そのことをだ。問うのだった。
「それはどうなのだ」
「はい、それでしたら」
部下の一人がだ。その問いに応えた。
「手に入れております」
「それを見せてくれるか」
戚継光の言葉はいよいよ鋭く強いものになってきていた。
「今ここでだ」
「わかりました。それでは」
「持って来てくれ」
こうしてだ。その夜襲を仕掛けた倭寇の武器が戚継光の前に出された。その中には彼等が使ったあの鉄砲もあった。最初に撃ってきたそれだ。
その鉄砲を見てだ。戚継光は言うのだった。
「この鉄砲に見覚えはあるな」
「!?それはまさか」
「まさかと思いますが」
「それは」
「そうだ、そのまさかだ」
彼は目を丸くする彼等に述べた。卓の上に置かれたその鉄砲を見ながらだ。
「これこそがだ」
「夜襲の謎ですか」
「それなのですか」
「中にいなければ外にいる」
またこう言う戚継光だった。
「そういうことだ」
「ではここはです」
「どうされるべきでしょうか」
「一体」
「考えがある」
戚継光の言葉は冷静なものだった。
「それを今から話そう」
「はい、それでは」
「御願いします」
こうしてだ。戚継光は主だった部下達にだ。部屋を別の、彼の私室に移したうえでその話した。そうしてそのうえで次の倭寇討伐にあたるのだった。
次はだ。本拠地に向かう。倭寇のだ。
そして彼等はだ。攻めていく。その本拠地の近くにだ。
かなり入り込んだ場所だった。海岸がでこぼことしていて山になっている。そうした場所だからだ。倭寇達が本拠地に使っているのだった。
幕僚の一人がだ。戚継光に問うた。
「こうした場所だからですね」
「そうだな。倭寇達もな」
彼等は船に乗っている。その甲板に出てだ。二人で話すのだった。その周りには他の幕僚達や兵達がいる。そしてだ。
他の船もある。そこに兵達が揃っている。誰もが警戒してだ。倭寇が来ることを恐れていた。
その中でだ。戚継光は言うのだった。
「潜んでいるのだ」
「ここが本拠地ですか」
「本当の本拠地は別の場所だ」
「別のですか」
「そこにあるのですか」
他の幕僚達も話してきた。
「ここではなく」
「他の場所に」
「今討伐する倭寇は日本人の倭寇だ」
これが重要だった。倭寇は日本人の倭寇だけではない。それがまた実に厄介な問題になっているのだ。
「それなら本来の本拠地はだ」
「日本にあるのですか」
「そこにですか」
「そうだ。だがここを潰せばだ」
どうなるのか。戚継光が言うのはこのことだった。
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