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倭寇
2部分:第二章
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第二章

「今の倭寇は我等のことを知り過ぎている」
「地だけではありませんから」
「我等が征伐に出る場所や数まで」
「実によく知っています」
「まるで我等の中にいる様な」
「そこまでです」
「そこがおかしいのだ」
 また言う戚継光だった。
「我々の中にいないのに何故そこまで知っている」
「ううむ、それは」
「どうしてでしょうか」
「そうしたことを考えるとだ」
 戚継光の言葉は続く。その将らしい重厚な顔にいぶかしむものを見せながら。
「やはり倭寇は我々のことを知っているのだ」
「左様ですか」
「やはり知っていてですか」
「そうして我等に対している」
「そうなのですか」
「そうだ。誰かが知っている」
 戚継光はそのことにだ。考えを辿り着かせた。
「一体誰だ、それは」
「我々の中にはいませんね」
「それは」
「何度調べてもそうした者は見当たらない」
 無論戚継光も調べている。彼の人を見る目は厳しいことで知られている。だがその彼が見てもだ。そうした者はいないというのだ。
「一人もな」
「では一体誰が」
「誰が倭寇にそれを教えているのでしょうか」
「一体」
「わからない。それがな」
 そんな話をする戚継光と部下達だった。そこにだ。
 将校の一人が彼のところに来てだ。こう告げるのだった。
「提督、商人が来ております」
「武具のことでか」
「はい、ポルトガルの商人です」
 その国の者だというのだ。明朝も彼等との貿易を行っていたのだ。
「提督とお話がしたいとのことですが」
「わかった。それではだ」
「はい、こちらに呼びます」
 そうした話の後でだ。ビロードの帽子に膝までの膨らんだズボン、それに黒い派手な上着に白いひらひらとしたシャツのだ。紅い髪の男が来た。 
 髭も紅い。髪も髭ももじゃもじゃとしている。目は青く鼻は高い。まさに南蛮人であった。
 その彼が戚継光の前に連れて来られだった。そのうえでだ。
 彼はだ。笑顔で一礼してから言うのだった。
「御久しぶりです、提督」
「うむ、久しいな」
 戚継光もだ。その南蛮の商人に応える。彼は提督として謹厳な表情を保っている。
「元気そうで何よりだ」
「はい、提督もまた」
「では今回はだ」
「何を買われますか?」
「南蛮の鳥銃を買いたい」
 まさにだ。それをだというのだ。
「近頃倭寇の鉄砲に悩まされている」
「相当辛い戦いなのですね」
「とにかくだ。ここは」
 苦戦していることについてはあえて言わずだ。商人に話すのだった。
「鳥銃を欲しい」
「幾つでしょうか」
「兵に必要な分だけだ」
 つまりだ。多く欲しいというのだ。
「それだけ欲しい」
「わかりました。それではです」
 商人はその話を聞いてだ。戚継光にこん
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