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脆い午後
第三章
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「晴れてたのに」
「急に雨になるなんて」
「思いも寄らなかったわね」
「それじゃあね」
 私は喫茶店の外を見ながら彼に言った、雨はかなり強く降っていて道に跳ね返りアスファルトを川みたいにしている。
 その道も見ながらだ、私は彼にこうも言った。
「雨が止んだら」
「それからだね」
「またね」
「うん、行こうね」
 何処に行くかはもう言うまでもなかった、こう約束してだ。
 私達はアイスコーヒーを飲みながら雨が止むのを待った。急なそれも強い雨なのですぐに止むと思った。そして実際に。
 雨は三十分程で止んだ、それでだった。
 私達はお店を出てまたホテルに行こうとした、けれど。 
 その三十分の間に気が変わった、勇気がなくなって。
 私達はお互いにだ、顔を見合わせて話した。
「それじゃあね」
「うん、今回はね」
「止めておきましょう」
「何かそういう気分じゃなくなったね」
「ええ、だからね」
 それでだとだ、私は彼に言った。
「止めてね」
「帰ろうか」
「そうしましょう、少し四条を歩いて」
「そうしてね」
「京都駅から舞鶴に帰りましょう」
 こう彼に話した。
「電車も少ないし」
「京都から舞鶴までもね」
「少ないわよね」
「三十分に一本だからね」
 本当にそれだけしかない、舞鶴は本当に辺鄙だと思う。舞鶴にいると然程苦労しないけれど外への行き来は難しい。
「困るよね」
「ええ、そこがね」
「じゃあ少し遊んで」
「それからね」
「帰ろう、遅くなり過ぎないうちに」
「そうしましょう、同じ京都府でも」
 これに尽きた、京都と舞鶴では。
「遠いから」
「そういうことでね」
「ホテルに行く気はなくなったけれど」
 それでもとだ、私は半分自分に言った。
「京都はね」
「うん、楽しめるからね」
「折角はじめて来たから」
 それでだと言うのだった。
「楽しみましょう」
「そうしようね」
「四条を歩いて」
「何処かお寺に行けるかな、神社でも」
「それは無理かしら」 
 地図を見ると今私達がいる場所からそうしたお寺や神社は離れている。少なくとも歩くとそれなりの距離だ。
 だからだ、私は彼に答えた。
「今はね」
「この四条を楽しんで」
「地下鉄で京都駅まで戻って」
 そうしてというのだ。
「京都駅から帰りましょう」
「そうしようか」
「ええ、そういうことでね」
 こう彼に話してだ、それから。
 また自分から彼の手を引いてだ、私は言った。
「今度にしましょう」
「今はね」
「ええ、今度また機会があれば」
 その時にと彼に言った。
「入りましょう」
「そうしよう、また機会があるからね」
「その時に入ればいいわ」
 こう言って普通に戻った午後の中で彼に言った
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