ある女性の旅立ちの物語。
JR黒崎駅。寒かった冬から暖かい春を迎えようとしていた。私は小森礼生菜(こもりれおな)、25歳。今日私はここを離れる。私の地元は北九州市八幡西区の木屋瀬という所だった。でも小中高は戸畑区の明治学園に通っていた。私の家は医者一家だから私の夢もそうだった。地元の大学で学び、試験合格した。1年程地元の大学病院で働き、大阪の市立病院の高度救命センターで救命医として働く事になった。向こうでの生活が楽しみだった。大学生の時から付き合っていた彼氏もいるから。でも今さら寂しさを感じた。長年暮らし、親しんできた町を離れるのだ。ホームシックにならないか心配になってきた。そう思っているうちに、11時24分の快速小倉行きの列車がやってきた。ドアが開いて、乗り込み、席に座った。車窓を眺めた。ふっと涙が溢れた。楽しみにしていた向こうの生活に憧れていた。すると隣に品の良さそうな婦人が座り、わたしに訳を聞いて来た。今日地元を離れる事が不安になってきた事、でも憧れていた向こうの生活に。すると飴を差し出し、「私もあなたと同じ医者で地元を離れる事が嫌だった。でも離れたらそうでもなかった。気張らんね。あんた一人じゃないだろう?」そんなことを言われるとさらに涙が溢れた。それから5年がたった日のあのときを思い出す4月の暖かな春の日。終わり。
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