第4話「槍ニモ負ケズ」
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俺に仕えるつもりなんかなかったってわけか。まぁ、いいさ。人に仕えられるなんて慣れてなくて息苦しかったんだ。これで自由になれた」
そう言って歩こうとしたが――
轟音。
銀時の足元に巨大な金棒が落下した。
振り下ろした金棒で道を阻んだ外道丸は、銀時を鋭く睨む。
「止まれといってるでござんしょ。いらぬ悲劇を起こすつもりでござんすか」
「兄ちゃんが死んだら誰が一番悲しむかわかってんだろ?」
「あっしはクリステル様に仕える式神。式神は主の命に従うだけでござんす」
「式神のてめーじゃねぇ。俺はテメー自身に聞いてんだ」
揺るがない瞳で銀時は外道丸を見据えた。
「結野アナが泣いちまってもテメーはかまわねぇのか。どうなっちまってもいいってのか」
「あっしは外道を歩む者。主が泣こうが喚こうが、思うことは微塵もありやせん」
誰が傷つこうがそんなの知ったことじゃない。
嫌われようが蔑まれようがどうなろうとかまわない。
ずっと孤独に生きていた自分が感じることは、今更何もないのだから。
「でも―」
……ただ。
たった一つだけある。
式神でも外道でもない自分の心に感じるものが。
「友達の涙を見るのは嫌でござんす」
あの時のようにクリステルはまた悲しみの中にいる。
だが自分に何ができるだろう。
命令がなければ動くこともできない式神の自分が、どうすれば主を救える?
この身に代えても護ると誓ったが、どうすれば護ることができる?
所詮式神は――
「聞かねーよ」
その一言に俯いていた外道丸は銀時を見上げる。
「オメーは自分の友達泣かせたくねーんだろ。だったらそうすりゃいいのに、式神だ主だつってそこで突っ立ってるだけじゃねーか。俺ァ泣いてる友達ほっとく奴の頼みなんざ、聞くつもりはねーよ」
――!
銀時の言葉で外道丸は悟った。
クリステルは『友達』としてみてくれていたのに、自分はそうじゃなかった。
ずっと人間達にこき使われ恨みしかなかった外道丸は人を拒み続け、心の奥底に主従の壁を作り、クリステルですら遠ざけていたのだ。
空ばかり見ていたクリステルを助けることができなかったんじゃない。
『式神だから』と諦めて何もしようとしなかっただけ。
「……その通りでござんす」
金棒をしまい、外道丸は首を傾げる銀時に薄く笑いかける。
「言ったでござんしょ、式神は常に主を見定めていると。あなたがつまらない枠に縛られる器の小さい人間でしたら撲殺するところでござんしたが――」
もちろん、これは半分今思いついたことで、本当は自分に向けた言葉。それは胸の内に潜め、外道丸は改めて銀時を見据えた。
「銀時様、認めたでやんす。今からあなたがあっしのもう一人の主でござんす。正真正銘あ
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