2ndA‘s編
第十八話〜立つは誰がために〜
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れが、ライにとってこの世界の高町なのはとフェイト・テスタロッサとの最後の邂逅。これ以降、彼女たちはライの姿を見ることはなくなるのだが、二人が家族――――特に兄と呼ばれる存在に頭を撫でられた時、二人共首を傾げ「何か違う」と言うようになり、シスコン二人の心を打ち砕くことになるのだが、これは完全に余談である。
アースラ・通路
「――ぁっ、――ぁっ、ケホッ……はぁ」
ボロボロの身体は引きずられるようにして進む。既に自立歩行を諦め、壁に体を擦るようになりながらも一歩一歩を踏みしめていく。
途中傷が開いたのか、掠れた血が壁を汚しちょっとしたホラーな景色となってしまっているが、それについては気にしなくても大丈夫なように“なっている”為、ライは一心不乱に足を動かすことに集中する。
目的の部屋まで残り数ブロック。距離的に言えば二十メートルも無いぐらいだ。
そして今のライにとって難所である十字路に差し掛かる。壁が途切れているため、必然的に自立歩行を支えなしで歩かなければならないのだ。
「ふぅ……ふぅ……っ」
息を整える。そして喪失した片腕分のバランスを調節しながら足を進ませていく。たった三メートル程の横断であったが、それでもライは慎重に行く。
そして壁に寄りかかれそうになれる程の距離となったとき、最後の最後でライは気を抜いてしまった。
「!」
壁に寄りかかろうとするとここまで来るのに流した汗と、滲んでいた血が壁と身体の摩擦を減らし、ライの体を傾けていく。
もちろん、今のライにそれを堪えきるだけの体力はなく、そのまま派手な音を立てて床にダイブした。
「――――っつぁ」
視界がチカチカし、痛みに耐えるため反射的に胎児のように体を丸める。
「――――――…………ふぅ、ふぅ、ふぅ」
痛みが引くのを待ち、また壁伝いに体を起き上がらせる。先ほどより視界がボヤけるが、目的地までのルートは既に頭に入っているため、壁沿いに向かえば問題ない。
だがそれも、あくまで『誰にも見つからない』という前提条件があってこそであるが。
「なにを……しているの……」
背後からの声に心臓が鷲掴みにされた気分であった。
未だ立ち上がることができず、体を壁に寄りかけて座らせるので精一杯であったライはゆっくりと背中を壁に預け振り返る。
そこには呆然としたようにこちらを見ているリンディ・ハラオウンの姿があった。
「答えなさい!何を――――」
「時間がない」
死にかけの状態でまだ何かをしようとするライに対して、リンディは怒鳴りつけるように問いただそうとする。だが、被せるように返ってきた言葉は彼女にとって納得できるようなものではなかった。
しかも、こともあろうにライはそれ
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